【改善活動】食品メーカーの5S

食品の加工技術
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食品メーカーの5Sとは

 食品メーカーにて新製品を立ち上げるときに開発に携わった担当者は、自社工場や製造の協力をしてもらう工場に赴き、製造に従事する関係者と打ち合わせの上、試製造を行います。工場に入ると目立つところに5Sを徹底する掲示物があり、場所によっては作業開始前に関係者全員で読み上げ、意識づけを行います。

 食品の安全性を向上させていく上で基本となる5S活動は、「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「しつけ」のローマ字の頭文字をとって名付けられました。5Sを実行し、食品の製造環境や製造設備を清潔に保つことで、製品の汚染や異物混入を予防することができ、作業しやすい職場環境づくりと作業のムダを除いて品質と生産性を高めることができます。

整理

 いるものといらないものを区別し、いらないものを処分します。

1 製造、梱包、保管を行う場所に、いらないものを置かないようにします

2 工場内で使用してはいけないものや私物が持ち込まれていないかを確認します

整頓

 製造に必要なものを、どこに、どのように、どのくらい保管するかを決めます。

1 製造設備や部品、道具は決められた場所に保管します

2 洗剤や消毒剤は、容器にラベルを貼り、取扱いに注意をはらい、安全データシートと共に保管します

清掃

 ゴミやほこり、製造設備内に付着している製品の残りなどを取り除きます。

1 製造設備や原材料倉庫、製品倉庫などは定期的に清掃し、常に清潔に保ちます

2 清掃用具も使うたび洗浄し、専用のロッカーなどに保管します

清潔

 整理、整頓、清掃がなされた上で、清潔な状態を保ちます。

1 工場の床や製造設備は、常に清潔な状態を保ちます

2 製造設備は、必ず洗浄と殺菌を行います

しつけ

 マニュアルを作成し、適宜教育を行い、決められたとおりに実施します

1 製造設備、原材料、製品の特性を理解し、マニュアル内に適切な管理方法を定め、手順どおりに運用します

2 マニュアルどおりに実施されているか、実施方法が適切で有効か、改善の余地がないかを確認します

5Sのチェックシート

 食品メーカーでは、5Sのチェックシートを作成し、定期的に工場で適切に5Sの取り組みが行われているかをきびしく調査します。評価基準は、「他の企業のお手本となる高いレベル(2点)」、「問題なく、実施できているレベル(1点)」、「さらに改善が必要なレベル(0点)」となり、評価があまり好ましくない場合は、課題となる事項をまとめ、改善を行います。

 チェックシートの項目を紹介します。

整理

 不要な製造設備や工具をおいていないか

 管理状態の不明な製品や仕掛品が現場に放置されていないか

 不良品や不要な製品の置き場があり、活用されているか

 不良品や仕掛品に識別管理札がつけられて、誰が見てもすぐに状態がわかるか

 品質検査用の抜き取りサンプルや使用した原材料は、現場に放置されていないか

 誰の所有物がわからないものが、そのまま放置されていないか

 製造設備が破損していないか

 不必要なものを廃棄し、必要なものを適切な場所に配置し、社内で共有できているか

 製造工程で使用するものを壁に立てかけて、そのまま置いていないか

 通路や避難経路にものを置かず、消火器前や非常口前に不要なものがないか

整頓

 はさみやドライバーなどの工具が製造設備上に放置されていないか

 工具置き場に名札があり、定められた置き場で管理されているか

 道具が使いやすい場所に保管されているか

 種類の異なる製造設備の部品や製品が、混在して保管されていないか

 製造設備の保守部品置き場は明確になっているか

 通路と製造設備が区画され、区画線があり、安全が確保されているか

 製品がパレットの上におかれず、床にそのまま置かれていないか

 製品、不良品、仕掛品が区画された位置に置かれ、識別管理ができているか。

清掃

 床にゴミがおちていないか

 床に水や油、原材料がこぼれていないか

 製品を入れるタンクなどの設備や搬送台が、汚れていないか

 製造設備に保守部品などが落ちていないか。

 製造設備に油のもれやさび、原材料が付着していないか

 製造設備の上にほこりがないか

 清掃用具がきめられた場所で保管されているか

 廃棄物が分別され、廃棄物を入れる容器がわけられているか

 天井から雨漏りなどが発生していないか

 扉や窓の開閉マニュアルがあり、換気と汚れ防止がはかられているか

清潔

 ゴム手袋の交換マニュアルがあり、衛生的な状態を維持しているか

 工場内にはいるときの服装が掲示され、守られているか

 トイレはいつも清潔に保たれているか

 工場内に昆虫が侵入していないか

 工場内の蛍光灯がきれておらず、必要となる明るさがたもたれているか

 工場内の掲示物がはがれていないか

 清掃時間、清掃場所、清掃当番のマニュアルがあり、きちんと運用されているか

 挨拶ができているか

 マニュアルが掲示などで見える化されているか

 シフト交代時、終了時に作業場をきれいな状態にもどしているか

 工場の床や壁に破損がなく、塗装がはがれている場合は補修されているか

しつけ

 挨拶ができているか

 マニュアルが守られているか

 現場の責任者自らが率先して、5Sをおこなっているか

 5Sを促すための掲示物の見える化が実施されているか

 管理チェックシートに管理基準と実測値が明記されているか

 チェックシートの記入者と確認者によるチェックが定期的になされているか

 朝礼などで5Sの情報や現場の課題を共有しているか

 工場内だけでなく、敷地内にもゴミがおちていないか。

まとめ

 食品の安全性を向上させていく上で基本となる5S活動は、「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」、「しつけ」です。5Sを確実に行い、食品の製造環境や製造設備を衛生的に保つことで、製品の汚染や異物混入を予防することができます。さらには作業しやすい職場環境づくりや作業のムダを除いて品質と生産性の向上につながります。

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