【危険回避】食べ物を識別する能力と経験による変化

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 子どもだけでなく大人になっても好き嫌いがたくさんある人がいます。食べ物に対する嫌悪は、どのようにして生じるのでしょうか。嫌悪ということは、不要であってない方が良いのでしょうか。

 自然界には数えきれないほど多くの種類の動植物が存在し、体に不利益な毒性のある物質を有するものも多く存在します。目の前の食べ物が、安全か危険かを適切に判断することで、栄養素の獲得と危険物の回避という、相反する行動を効率良く行うことが可能となります。一般的に危険物は、人や動物に嫌悪の情動を喚起する性質を持ちます。嫌だと感じて摂取しなければ、危険な物質を体に入れることを防ぐことができます。したがって、食べ物に対する嫌悪は、危険回避による生命維持という観点から極めて重要な役割があります。

 食べ物に対する嫌悪に重要な役割を果たすのが、化学的特性を受容する味覚と嗅覚です。味覚には、5つの基本味、すなわち、甘味、塩味、うま味、 酸味、苦味があります。これらのうち、酸味は腐敗物の呈する味で、苦味は毒性のあるアル カロイドなどの呈する味です。したがって、酸味や苦味を呈するものを摂取することは危険を伴い、人や動物は生まれた直後からこれらの味を嫌がることが知られています。一方、嗅覚から得られる情報としては、生まれつき腐敗臭など特定のにおいを嫌がる傾向があります。したがって、人や動物には 摂取すべきでない食べ物を識別する能力が生まれつき備わっているといえます。

 食べ物の味やにおいに関わらず、人や動物は初めて遭遇する食べ物に対して警戒心を抱く傾向があります。人において、見慣れない食べ物を目の前にすると食わず 嫌いをしてしまうことがあります。しかし、食わず嫌いを示すのは、正常な状態です。

 人や動物は、苦味や酸味を生得的に嫌悪しますが、反対に甘味、塩味、うま味を呈する食べ物を好んで摂取する傾向があります。このような味に対する嗜好性は、永続的なものではなく、経験によって変化します。

食べ物を識別する能力

 どんなものでも食べることができた方が、栄養学的には 望ましいことです。にもかかわらず、子どもだけでなく大人になっても好き嫌いがたくさんある人がいます。食べ物に対する嫌悪は、どのようにして生じるのでしょうか。嫌悪ということは、不要であってない方が良いのでしょうか。

 生命を維持するためには、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素を一定のレベルに保つ必要があります。これらの栄養素を体内でつくり出すことができない場合は、植物や動物を 摂取することで栄養素を獲得する必要があります。自然界には数えきれないほど多くの種類の動植物が存在しますが、その全てが体にとって有益なわけではありません。体に不利益な毒性のある物質を有するものも多く存在します。目の前の食べ物が、安全か危険かを適切に判断することで栄養素の獲得と危険物の回避という、相反する行動を効率良く行うことが可能となります。一般的に危険物は、人や動物に嫌悪の情動を喚起する性質を持ちます。嫌だと感じて摂取しなければ、危険な物質を体に入れることを防ぐことができます。したがって、食べ物に対する嫌悪は、危険回避による生命維持という観点から極めて重要な役割があります。

 食物摂取には五感の全てが関与しています。食べ物の物理的特性を受容するのは視覚、聴覚、触覚感覚などです。そして、食べ物に対する嫌悪に重要な役割を果たすのが、化学的特性を受容する味覚と嗅覚です。味覚には、5つの基本味、すなわち、甘味、塩味、うま味、 酸味、苦味があります。これらのうち、酸味は腐敗物の呈する味で、苦味は毒性のあるアル カロイドなどの呈する味です。したがって、酸味や苦味を呈するものを摂取することは危 険を伴い、人や動物は生まれた直後からこれらの味を嫌がることが知られています。一方、嗅覚から得られる情報としては、生まれつき腐敗臭など特定のにおいを嫌がる傾向があります。したがって、人や動物には 摂取すべきでない食べ物を識別する能力が生まれつき備わっているといえます。

 生後母乳以外のものを口にしない哺乳動物において、生得的な嫌悪がみられるということは、食べ物を嫌悪する生物学的基盤が存在していることを示唆しています。嫌悪のメカニズムを調査することで、摂食行動の普遍的な仕組みが明らかになるかもしれません。

食わず嫌いと経験による変化

 食べ物の味やにおいに関わらず、人や動物は初めて遭遇する食べ物に対して警戒心を抱く傾向があります。これは新奇性恐怖と呼ばれます。

 人において、見慣れない食べ物を目の前にすると食わず 嫌いをしてしまうことがあります。しかし、食わず嫌いを示すのは、正常な状態です。

 人や動物は、苦味や酸味を生得的に嫌悪しますが、反対に甘味、塩味、うま味を呈する食べ物を好んで摂取する傾向があります。このような味に対する嗜好性は、永続的なものではなく、経験によって変化します。代表的な例として、食後に腹痛や下痢といった体調不良を経験すると、直前に摂取した食べ 物の味に対して嫌悪するようになります。このような現象は人だけではなく、動物全般で観察され、その結果、その味を呈するものを摂取しなくなります。

 では、嫌いになった食べ物を再び好きになることはできるのでしょうか。嫌いになった食べ物を繰り返し食べていると、嫌悪の記憶が徐々に消えることがあります。ただし、ほかに摂取可能なものがあれば,嫌いになったものをあえて摂取することはほとんどなく、嫌悪の記憶は非常にながく保持されます。

 また、繰り返し摂取しても、しばらく期間をおくと再び 嫌悪するようになることがあります。したがって、嫌いに なった食べ物を以前と全く同様に食べるのは難しいかもしれなません。

まとめ

 子どもだけでなく大人になっても好き嫌いがたくさんある人がいます。食べ物に対する嫌悪は、どのようにして生じるのでしょうか。嫌悪ということは、不要であってない方が良いのでしょうか。

 自然界には数えきれないほど多くの種類の動植物が存在し、体に不利益な毒性のある物質を有するものも多く存在します。目の前の食べ物が、安全か危険かを適切に判断することで、栄養素の獲得と危険物の回避という。相反する行動を効率良く行うことが可能となります。一般的に危険物は、人や動物に嫌悪の情動を喚起する性質を持ちます。嫌だと感じて摂取しなければ、危険な物質を体に入れることを防ぐことができます。したがって、食べ物に対する嫌悪は、危険回避による生命維持という観点から極めて重要な役割があります。

 食べ物に対する嫌悪に重要な役割を果たすのが、化学的特性を受容する味覚と嗅覚です。味覚には、5つの基本味、すなわち、甘味、塩味、うま味、 酸味、苦味があります。これらのうち、酸味は腐敗物の呈する味で、苦味は毒性のあるアル カロイドなどの呈する味です。したがって、酸味や苦味を呈するものを摂取することは危険を伴い、人や動物は生まれた直後からこれらの味を嫌がることが知られています。一方、嗅覚から得られる情報としては、生まれつき腐敗臭など特定のにおいを嫌がる傾向があります。したがって、人や動物には 摂取すべきでない食べ物を識別する能力が生まれつき備わっているといえます。

 食べ物の味やにおいに関わらず、人や動物は初めて遭遇する食べ物に対して警戒心を抱く傾向があります。人において、見慣れない食べ物を目の前にすると食わず 嫌いをしてしまうことがあります。しかし、食わず嫌いを示すのは、正常な状態です。

 人や動物は、苦味や酸味を生得的に嫌悪しますが、反対に甘味、塩味、うま味を呈する食べ物を好んで摂取する傾向があります。このような味に対する嗜好性は、永続的なものではなく、経験によって変化します。

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