人は特定の食べ物を強烈に好きになり、ハマってしまうことがあります。このようなやみつきとなる現象は、どのように引き起こされるのでしょうか。やみつきとなる状態をつくり上げているのは脳です。
一例として、激辛ラーメンを口にした時には、まず激辛ラーメンに含まれる味の成分が舌の味蕾という器官で感知されます。激辛ラーメンの味の情報は、脳の第一次味覚野という部位まで届きます。第一次味覚野は、味の性質や強さを識別する部位です。第一次味覚野から2つの経路にわかれ、激辛ラーメンの味に対して、美味しい、快いといった判断がなされます。激辛ラーメンが美味しいと判断されるとβエンドルフィンという神経伝達物質が分泌されます。βエンドルフィンは、幸福感を生み出す働きがある物質です。美味しさによる快さが大きいほど、βエンドルフィンの分泌は増える傾向です。激辛ラーメンが美味しい、快いと判断され、βエンドルフィンが分泌されると脳の報酬系と呼ばれる領域は、快さを得られるという期待が生じたときに活発に働き、ホルモンのドーパミンを分泌します。その結果、その快さを得る行動に対して、モチベーションが高まり、もっと食べたい気持ちが引き起こされます。
体には一定の平常状態を保とうとする働きがあります。ドーパミンの大量の分泌とそれに伴う神経伝達は、平常時よりも強い刺激のため、神経はドーパミンの信号を受け取る能力を低下させることで、刺激を平常な強さに戻そうとします。ドーパミンを受け取る能力が低下すると、今までの満足感を得ることができなくなります。そこで激辛ラーメンの辛さを強めることで、以前と同じ強さのドーパミンの信号を出そうとします。これが、徐々に辛さが増える仕組みと考えられています。
人は、脂肪や糖質を好むようにプログラムされています。脂質や糖質は主なエネルギー源であり、多く食べれば貯蔵することもできます。そこで、脂質や糖質を快いと感じるように進化することで、エネルギー源となる食べ物をとる行為が促され、生存において有利な状況となります。このため、脂っこいものや甘いものは、βエンドルフィンが分泌されやすく、やみつきの状態が生じやすくなります。
やみつきになる脳のしくみ
人は特定の食べ物を強烈に好きになり、ハマってしまうことがあります。このようなやみつきとなる現象は、どのように引き起こされるのでしょうか。やみつきとなる状態をつくり上げているのは脳です。
一例として、激辛ラーメンを口にした時には、まず激辛ラーメンに含まれる味の成分が舌の味蕾という器官で感知されます。激辛ラーメンの味の情報は、脳の第一次味覚野という部位まで届きます。第一次味覚野は、味の性質や強さを識別する部位です。その情報は次に香りや食感なども含めた全体の情報を統合して、激辛ラーメンと認識する第二次味覚野に届く経路と本能的な快不快の感知にかかわる扁桃体に届く経路に分かれます。
第一次味覚野から2つの経路にわかれ、激辛ラーメンの味に対して、美味しい、快いといった判断がなされます。激辛ラーメンが美味しいと判断されるとβエンドルフィンという神経伝達物質が分泌されます。βエンドルフィンは、鎮痛剤として使われるモルヒネに似た物質で、痛みを和らげ、幸福感を生み出す働きがある物質です。美味しさによる快さが大きいほど、βエンドルフィンの分泌は増える傾向です。
激辛ラーメンが美味しい、快いと判断され、βエンドルフィンが分泌されると、扁桃体からの情報は、さらに報酬系と呼ばれる領域に届きます。報酬系は、物事に対しての動機付けに関する部位です。快さを得られるという期待が生じたときに活発に働き、ホルモンのドーパミンが分泌されます。その結果、その快さを得る行動に対して、モチベーションが高まります。美味しさの情報が届くと、ドーパミンの分泌によって、もっと食べたい気持ちが引き起こされます。
ドーパミンが分泌され、食べたい気持ちが引き起こされると、その情報は視床下部と呼ばれる部位にある摂食中枢を刺激します。この部位は、食べる行動を引き起こす部位です。摂食中枢が活発になると、オレキシンをはじめとした摂食行動を促す物質が分泌されます。これにより、激辛ラーメンを口に運び、もっと食べる行動をとることになります。これは、血糖値の上昇や満腹を示す信号が脳に届き、満腹感を感じられるまで続きます。
また、体には一定の平常状態を保とうとする働きがあります。ドーパミンの大量の分泌とそれに伴う神経伝達は、平常時よりも強い刺激です。そこで、神経はドーパミンの信号を受け取る能力を低下させることで、なるべく刺激を平常な強さに戻そうとします。ドーパミンを受け取る能力が低下すると、以前と同じ量の辛さでは、今までの満足感を得ることができなくなります。そこで辛さを強めることで、以前と同じ強さのドーパミンの信号を出そうとします。これが、徐々に辛さが増える仕組みと考えられています。
やみつきになりやすい食べ物
どのような食べ物が、やみつきになりやすいのでしょうか。
脂肪でこってりした家系のラーメン、高カロリーの甘いものなど健康を意識する場合は控えたいような食べ物ほど、美味しくて魅力的なことがあります。人は、脂肪や糖質を好むようにプログラムされています。
今では食べ過ぎによる肥満などが問題視されますが、食べ物が不十分な時代には、なるべく多く食べてエネルギーを得ることが必須でした。脂質や糖質は主なエネルギー源であり、多く食べれば貯蔵することもできます。そこで、脂質や糖質を快いと感じるように進化することで、エネルギー源となる食べ物をとる行為が促され、生存において有利な状況となります。このため、脂っこいものや甘いものは、βエンドルフィンが分泌されやすく、やみつきの状態が生じやすくなります。
お酒に含まれるアルコール、コーヒーに含まれるカフェインといった成分は、それ自体が神経に作用して、神経伝達を変える働きがあります。神経伝達は、回数を重ねるごとに神経の信号を受け取る能力が低下する傾向があることから、お酒やコーヒーによる快さなど感覚的な変容を期待して、特定の食べ物や飲み物にやみつきとなるような場合は、徐々にその効果が薄れるが故に、どんどん量が増えていく可能性があります。
人は未来の行動をよりよくしようとするため、過去の経験から学習します。学習によって、過去にある行動をしたら良いことがあったため、今後もある行動を増やすということがあります。
学習の面から、ギャップのあるものや個性の強いものはやみつきになりやすい可能性があります。とてもクセの強い味、見た目は強烈なインパクトにもかかわらず意外に美味しいといったとても強い印象は、記憶に残りやすくなります。そして、その記憶が快さを伴うものであれば、それを食べる行動が促され、何度も食べる行動に繋がることになります。
まとめ
人は特定の食べ物を強烈に好きになり、ハマってしまうことがあります。このようなやみつきとなる現象は、どのように引き起こされるのでしょうか。やみつきとなる状態をつくり上げているのは脳です。
一例として、激辛ラーメンを口にした時には、まず激辛ラーメンに含まれる味の成分が舌の味蕾という器官で感知されます。激辛ラーメンの味の情報は、脳の第一次味覚野という部位まで届きます。第一次味覚野は、味の性質や強さを識別する部位です。第一次味覚野から2つの経路にわかれ、激辛ラーメンの味に対して、美味しい、快いといった判断がなされます。激辛ラーメンが美味しいと判断されるとβエンドルフィンという神経伝達物質が分泌されます。βエンドルフィンは、幸福感を生み出す働きがある物質です。美味しさによる快さが大きいほど、βエンドルフィンの分泌は増える傾向です。激辛ラーメンが美味しい、快いと判断され、βエンドルフィンが分泌されると脳の報酬系と呼ばれる領域は、快さを得られるという期待が生じたときに活発に働き、ホルモンのドーパミンを分泌します。その結果、その快さを得る行動に対して、モチベーションが高まり、もっと食べたい気持ちが引き起こされます。
体には一定の平常状態を保とうとする働きがあります。ドーパミンの大量の分泌とそれに伴う神経伝達は、平常時よりも強い刺激のため、神経はドーパミンの信号を受け取る能力を低下させることで、刺激を平常な強さに戻そうとします。ドーパミンを受け取る能力が低下すると、今までの満足感を得ることができなくなります。そこで激辛ラーメンの辛さを強めることで、以前と同じ強さのドーパミンの信号を出そうとします。これが、徐々に辛さが増える仕組みと考えられています。
人は、脂肪や糖質を好むようにプログラムされています。脂質や糖質は主なエネルギー源であり、多く食べれば貯蔵することもできます。そこで、脂質や糖質を快いと感じるように進化することで、エネルギー源となる食べ物をとる行為が促され、生存において有利な状況となります。このため、脂っこいものや甘いものは、βエンドルフィンが分泌されやすく、やみつきの状態が生じやすくなります。