【たしなむ程度】お酒の適量

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 適量のお酒は、楽しい気持ちを増加させる効果や緊張感の緩和、良好な対人関係を促す効果をもち、ストレスを解消させる働きがあります。

 お酒を飲むと気分がよくなるのは、アルコールが大脳新皮質の活動を鈍くするからです。それによって、感情や本能を司る大脳辺縁系の働きが活発になり、精神が高揚します。

 節度ある適度な飲酒は、1日あたり純アルコールに換算して20g程度とされています。このくらいの量であれば、ほどよくお酒を楽しめます。

飲んだお酒の代謝と酔う理由

 飲んだお酒に含まれるアルコールは、胃から約20%、小腸から約80%が吸収されます。それから血液に入り、全身にいきわたります。体内のアルコールの大部分は、肝臓で代謝されます。肝臓でアルコールは、アセトアルデヒドを経て酢酸まで分解されます。酢酸は血液によって全身をめぐり、筋肉や脂肪組織などで水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。摂取されたアルコールの2~10%は、そのまま呼気や尿、汗として排泄されます。

 血液に入ったアルコールは、脳まで到達します。するとアルコールが、脳の網様体に働きかけ、麻痺させます。その結果として、酔った状態になります。

お酒の単位と酔い

 アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20gです。1単位を各種アルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、35度の焼酎は1合(180ml)、ワインは1杯(120ml)が目安となります。

 お酒の適量には個人差があり、また同じ人であってもその日の状態によって、酔いの具合が異なるため、一概には表せませんが、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、節度ある適度な飲酒は、1日あたり純アルコールに換算して20g程度とされています。このくらいの量であれば、ほどよくお酒を楽しめるということです。

 体重60kgの人が、1単位のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは3~4時間体内に留まります。2単位の場合は、アルコールが体内から消失するまで6~7時間かかります。個人差もあるため、体質的にお酒に弱い人はもっと長い時間がかかります。そのため、深夜まで飲むと、翌朝起床後まで体内にアルコールが残っていることから、二日酔いとなります。

 アルコールの血中濃度と酔いの状態は、以下の通りです。

状態血中濃度(%)酒量酔いの状態脳への影響
爽快期0.02~0.04ビール中びん(~1本)・日本酒(~1合)・ウイスキーシングル(~2杯)さわやかな気分になる・皮膚が赤くなる・陽気になる・判断力が少しにぶる脳の網様体が麻痺すると、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた本能や感情をつかさどる大脳辺縁系の活動が活発になる
ほろ酔い期0.05~0.10ビール中びん(1~2本)・日本酒(1~2合)・ウイスキーシングル(3杯)ほろ酔い気分になる・手の動きが活発になる・抑制がとれる・体温が上がる・脈が速くなる脳の網様体が麻痺すると、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた本能や感情をつかさどる大脳辺縁系の活動が活発になる
酩酊初期0.11~0.15ビール中びん(3本)・日本酒(3合)・ウイスキーダブル(3杯)気が大きくなる・大声でがなりたてる・怒りっぽくなる・ふらつく脳の網様体が麻痺すると、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた本能や感情をつかさどる大脳辺縁系の活動が活発になる
酩酊期0.16~0.30ビール中びん(4~6本)・日本酒(4~6合)・ウイスキーダブル(5杯)千鳥足になる・何度も同じことをしゃべる・呼吸が速くなる・吐き気・おう吐がおこる小脳まで麻痺が広がると、千鳥足の状態になる
泥酔期0.31~0.40ビール中びん(7~10本)・日本酒(7合~1升)・ウイスキーボトル(1本)まともに立てない・意識がはっきりしない・言語がめちゃめちゃになる記憶中枢の海馬が麻痺すると、今やっていること、起きていることを記憶できない状態になる
昏睡期0.41~0.50ビール中びん(10本超)・日本酒(1升超)・ウイスキーボトル(1本超)ゆり動かしても起きない・大小便はたれ流しになる・呼吸はゆっくりと深い・死亡麻痺が脳全体に広がると、呼吸中枢の延髄が危険な状態となり、死にいたる

お酒のさまざまな効用

 適量のお酒は、楽しい気持ちを増加させる効果や緊張感の緩和、良好な対人関係を促す効果をもち、ストレスを解消させる働きがあります。

 お酒を飲むと気分がよくなるのは、アルコールが大脳新皮質の活動を鈍くするからです。それによって、感情や本能を司る大脳辺縁系の働きが活発になり、精神が高揚します。 さらにビールやワイン、ウイスキーなどの香りにはリラックス効果があります。

 諸説ありますが、お酒の効用を医学的に裏づける報告によると、適量のお酒を適正に飲んでいる人は、お酒を全く飲まない人や大量に飲む人に比べて、死亡率が低くなっています。日本で男性を対象とした研究でも、平均して2日に日本酒換算で1合(純アルコールでおおよそ20g)程度お酒を飲む人が、死亡率が最も低いとする結果が報告されています。諸外国でも、女性を含め、近似した研究結果が出ています。このことを示すグラフの形状から、Jカーブ効果と呼ばれています。 ただし、毎日大量に飲んでいる人やアルコール依存症患者は、J の文字が示す通り死亡率が極端に高くなっています。これは、アルコールの心筋梗塞や狭心症などに対する予防効果が要因と考えられています。アルコールが心臓病を予防する善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを抑制するからです。

まとめ

 飲んだお酒に含まれるアルコールは、胃から約20%、小腸から約80%が吸収されます。それから血液に入り、全身にいきわたります。血液に入ったアルコールは、脳まで到達します。するとアルコールが、脳の網様体に働きかけ、麻痺させます。その結果として、酔った状態になります。

 アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20gです。1単位を各種アルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、35度の焼酎は1合(180ml)、ワインは1杯(120ml)が目安となります。厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、節度ある適度な飲酒は、1日あたり純アルコールに換算して20g程度とされています。このくらいの量であれば、ほどよくお酒を楽しめるということです。

 適量のお酒は、楽しい気持ちを増加させる効果や緊張感の緩和、良好な対人関係を促す効果をもち、ストレスを解消させる働きがあります。

 お酒を飲むと気分がよくなるのは、アルコールが大脳新皮質の活動を鈍くするからです。それによって、感情や本能を司る大脳辺縁系の働きが活発になり、精神が高揚します。 諸説ありますが、お酒の効用を医学的に裏づける報告によると、適量のお酒を適正に飲んでいる人は、お酒を全く飲まない人や大量に飲む人に比べて、死亡率が低くなっています。

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