豆乳とは
日本農林規格(JAS)にて、豆乳は「大豆から熱水等によりたんぱく質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(大豆豆乳液)であって、大豆固形分が8%以上のもの」と定義されています。
つまり、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁を濾した液状の飲み物となります。
大豆豆乳液ににがり(凝固剤)を入れて固めると豆腐になりますが、豆腐はおおよそ2000年前に中国で誕生したと言われており、その頃から豆乳があったと言われております。中国から日本に豆腐が伝わったのは、奈良時代と言われていますが、豆乳の原型と言われる豆腐羹が禅宗の僧侶たちの食膳に出たのは、鎌倉時代と言われています。これが、日本における豆乳の誕生と考えられています。一般の家庭に飲料として豆乳が出回るようになったのは、昭和50年前後となります。
スーパーやコンビニなどで売られている豆乳関連製品は、JAS規格で3種類に分かれて定義されています。すなわち、無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料です。水に浸したり、蒸したりした大豆を絞った乳白色の液状そのままの豆乳は、何も味付けしていないので無調整豆乳となります。この無調整豆乳に食塩や砂糖などで飲みやすくしたものが調製豆乳です。この調製豆乳に果汁や紅茶、コーヒーなどで味付けしたものが豆乳飲料です。味や甘さなどを調製することで、より美味しく飲みたい人もいれば、できるだけ大豆そのものの味で栄養を摂取したい人など、それぞれの好みで豆乳の種類を選ぶことができます。
日本農林規格(JAS)では、これに大豆固形分の割合やたんぱく質含有率を付帯して、3種類それぞれの規格を定義しています。豆乳は大豆固形分8%以上(大豆たんぱく質換算3.8%以上)、調製豆乳は大豆固形分6%以上(大豆たんぱく質換算3.0%以上)、豆乳飲料(果汁系)は大豆固形分2%以上(大豆たんぱく質換算0.9%以上)、豆乳飲料(その他)は大豆固形分4%以上(大豆たんぱく質換算1.8%以上)となります。
豆乳は、大豆固形分が多いほどたんぱく質が多くなります。大豆固形分が4%の豆乳飲料よりも、8%の無調整豆乳の方がたんぱく質は多いですが、カリウムやビタミンなどほかの栄養も大切です。
豆乳は、原材料となる大豆を脱皮、蒸煮、摩砕し、食塩や糖質、植物性油脂などを配合、殺菌、脱臭、冷却、均質化、充填し、製品となります。昭和50年前後まで、豆乳があまり飲まれていなかった要因は、青臭さとえぐみのある味でした。その後、豆乳の脱臭法が確立され、いろいろな味の豆乳が登場し、現在ではヘルシーな製品として、世界中で注目されています。
豆乳と牛乳の違い
牛乳は動物性なのに対し、豆乳は植物性です。逆に最も似ているところは、両方ともたんぱく質の飲料という点です。
動物性たんぱく質飲料の牛乳は、アミノ酸スコア100の良質なたんぱく質ですが、豆乳よりやや脂質が多く、コレステロールが含まれるのに対し、植物性たんぱく質飲料の豆乳は、牛乳と同じくアミノ酸スコアの高い良質なたんぱく質飲料で、牛乳より脂質分が少なくコレステロールのない飲み物です。
豆乳はややカルシウム含有が牛乳より低いですが、牛乳よりカリウムやマグネシウム含有が高いことに加え、牛乳にはない大豆イソフラボンが含まれていることで、丈夫な骨や筋肉の発達に良いとされています。
豆乳の1日の推奨摂取量
豆乳の一般的な推奨摂取量は、1日あたり200~600ml程度ですが、特に制限はありません。ただし、通常の飲料と同様にほかの食事とのバランスを考え、飲用します。
以前、大豆イソフラボンの摂取量について報道されたことがありましたが、サプリメントが対象で、従来の大豆食品の摂取は問題ないとされています。また、大豆の摂取により乳がんのリスクを低減させるという報告があります。
豆乳の成分と特徴
大豆イソフラボンは、大豆の胚芽に含まれているポリフェノールの1種で、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造をしています。乳がんは、エストロゲンの過剰分泌が原因のひとつと考えられていますが、大豆イソフラボンはエストロゲンが足りなければ補い、多すぎるときには減少させるように働くため、乳がんなどのホルモン依存型のがん予防にも効果が期待されています。
女性ホルモンのエストロゲンが不足することによって、骨にカルシウムが届けられにくくなり、骨粗鬆症になりやすくなります。イソフラボンは代替ホルモンとして働き、骨粗鬆症予防にも役立ちます。
サポニンは、血液中の余分なコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制することから、肥満の予防に効果が期待されます。サポニンのもうひとつの大きな働きは、抗酸化作用です。体内の細胞膜を構成する脂質は、加齢や活性酸素などによって過酸化脂質に変化します。サポニンは抗酸化作用により、体の酸化を予防する効果が報告されています。
レシチンは、コレステロールを乳化して肝臓へと運び排泄させるため、動脈硬化を予防する効果があります。また、血管を強くして高血圧を防ぐことをはじめ、神経伝達物質を生成することで脳を活性化し、認知症の予防にも効果が期待されています。
豆乳に含まれる大豆由来のオリゴ糖は、腸内環境を整えてくれるビフィズス菌や乳酸菌の栄養源となります。オリゴ糖は、善玉菌を増やし、免疫機能の向上及び便通をよくする働きがあります。
豆乳に含まれているフィチン酸は、細胞を活性酸素から守る働きが期待されています。
豆乳にはビタミンB群が含まれており、代謝や脳の機能を維持する働きをもっています。これらが不足すると、イライラや集中力不足になりやすくなります。
豆乳に含まれているビタミンEは、脂質の酸化を防ぎ、細胞膜を強化し、呼吸器や内臓を丈夫にします。血行を改善する作用もあることから、美肌づくり、肩こりに効果が期待されます。
日本人は、ナトリウムの摂取量が先進国の中で最も多いといわれています。このナトリウムが血圧を上げる作用をするのに対して、豆乳に含まれるカリウムは、ナトリウムを排出させ、体内のナトリウムが過剰にならないようにすることで、血圧を正常に保つ働きをします。また、マグネシウムは心臓や血管、神経やホルモン分泌臓器などの働きを調整します。なお、マグネシウムの1日の摂取量はカルシウム600mgに対し、2対1の割合の300mgとなります。
脂肪酸は、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸に分けられます。一般的には、大豆をはじめとした植物性脂肪には不飽和脂肪酸が、動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれています。大豆の脂肪酸のおおよそ80%は、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸です。リノール酸に代表されるオメガ6系脂肪酸と、α-リノレン酸に代表されるオメガ3系脂肪酸の2系統の多価不飽和脂肪酸は、人の体で合成できない必須脂肪酸です。
女性をサポートする豆乳
冬の乾燥、夏の紫外線など女性は、肌の悩みに敏感です。体外からのケアだけでなく、お肌にとっては体内からのケアも大切です。
豆乳は、肌の健康を維持するビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、細胞の働きを正常に保ち新陳代謝を活発にさせ、肌の生まれ変わりのリズムを正常にする作用があるレシチン、肌の老化の原因となる活性酸素を抑え、紫外線や乾燥などさまざまなダメージから肌を守り、シミやそばかすなどの予防にもよいといわれているサポニンが含まれています。
便秘に悩んでいる女性は多いようです。豆乳には、オリゴ糖がたくさん含まれており、肌荒れの原因ともなる便秘解消効果が期待されています。オリゴ糖は、小腸で吸収されず大腸まで届くので、腸内にいる善玉菌のエサとなります。ヨーグルトなどと一緒に食べることで、ビフィズス菌や乳酸菌の栄養にもなり、効果が期待されます。
豆乳の成分であるイソフラボンは、女性特有の悩みを緩和してくれる働きがあります。女性は更年期を迎えると女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少し、コレステロールや中性脂肪が増加し、不眠、イライラ、うつなどさまざまな体調の変化が起こります。イソフラボンは更年期で減少してしまう女性ホルモンのエストロゲンに類似しており、女性ホルモンに似た働きをすることから、症状の緩和が期待され、更年期が気になる女性には欠かせない成分といわれています。
豆乳によるアンチエイジング
豆乳の主成分のひとつである大豆レシチンは、脳の神経細胞を形成する栄養素で、脳細胞に高濃度で存在しています。大豆レシチンを含む豆乳を飲むことで、記憶維持、学習能力、集中力維持などが期待されています。
コレステロールが高い人は、食品から摂取するコレステロールが多いこと、体内で合成されるコレステロールの調節機能がうまく働いていないことなどが原因と考えられています。コレステロールを下げるには、食品から摂取する飽和脂肪酸や糖質を減らし、有酸素運動で余分な脂肪を消費することが効果的です。豆乳はノンコレステロールで、コレステロールを気にする場合でも、安心して飲むことができます。さらに大豆レシチンにはコレステロール調整作用があるため、血液中のコレステロール値を下げて正常に保ち、血液の老化を防ぎ、高血圧や動脈硬化を予防する効果が期待されています。
まとめ
日本農林規格(JAS)にて、豆乳は「大豆から熱水等によりたんぱく質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(大豆豆乳液)であって、大豆固形分が8%以上のもの」と定義されています。
スーパーやコンビニなどで売られている豆乳関連製品は、JAS規格で3種類に分かれて定義されています。すなわち、無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料です。水に浸したり、蒸したりした大豆を絞った乳白色の液状そのままの豆乳は、何も味付けしていないので無調整豆乳となります。この無調整豆乳に食塩や砂糖などで飲みやすくしたものが調製豆乳です。この調製豆乳に果汁や紅茶、コーヒーなどで味付けしたものが豆乳飲料です。味や甘さなどを調製することで、より美味しく飲みたい人もいれば、できるだけ大豆そのものの味で栄養を摂取したい人など、それぞれの好みで豆乳の種類を選ぶことができます。
豆乳の一般的な推奨摂取量は、1日あたり200~600ml程度ですが、特に制限はありません。ただし、通常の飲料と同様にほかの食事とのバランスを考え、飲用します。
豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、大豆の胚芽に含まれているポリフェノールの1種で、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造をしています。大豆イソフラボンはエストロゲンが足りなければ補い、多すぎるときには減少させるように働きます。女性ホルモンのエストロゲンが不足することによって、骨粗鬆症になりやすくなりますが、イソフラボンは代替ホルモンとして働き、骨粗鬆症予防にも役立ちます。
豆乳に含まれるサポニンは、血液中の余分なコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制することから、肥満の予防に効果が期待されます。体内の細胞膜を構成する脂質は、加齢や活性酸素などによって過酸化脂質に変化しまが、サポニンの抗酸化作用により、体の酸化を予防する効果が報告されています。
大豆レシチンは、コレステロールを乳化して肝臓へと運び排泄させるため、動脈硬化を予防する効果があります。また、血管を強くして高血圧を防ぐことをはじめ、神経伝達物質を生成することで脳を活性化し、認知症の予防にも効果が期待されています。
豆乳に含まれる大豆由来のオリゴ糖は、腸内環境を整えてくれるビフィズス菌や乳酸菌の栄養源となります。オリゴ糖は、善玉菌を増やし、免疫機能の向上及び便通をよくする働きがあります。
豆乳にはビタミンB群が含まれており、代謝や脳の機能を維持する働きをもっています。これらが不足すると、イライラや集中力不足になりやすくなります。
豆乳に含まれているビタミンEは、脂質の酸化を防ぎ、細胞膜を強化し、呼吸器や内臓を丈夫にします。血行を改善する作用もあることから、美肌づくり、肩こりに効果が期待されます。
豆乳に含まれるカリウムは、ナトリウムを排出させ、体内のナトリウムが過剰にならないようにすることで、血圧を正常に保つ働きをします。
大豆の脂肪酸のおおよそ80%は、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸です。リノール酸に代表されるオメガ6系脂肪酸と、α-リノレン酸に代表されるオメガ3系脂肪酸の2系統の多価不飽和脂肪酸は、人の体で合成できない必須脂肪酸です。