あるアンケートによると、健康に関係する食品の購入動機については、今以上に健康でありたいというよりは、むしろ現在生じている健康不安を減少させたい、将来生じる可能性のある健康不安を回避したいという回答が多くなっています。このことは、将来の健康が損なわれることになれば、その損失を重く捉え、未然に回避することを表しています。つまり、健康不安を強く認識することで、健康に関係する食品の購入は、その不安を減少させ、回避することにつながります。
また、健康に関係する食品の情報の入手先は、家族からが最も高く、次いでテレビや友人、知人となっています。新聞は中高年で信頼性が高く、雑誌やインターネットの信頼性は低い傾向にあります。すなわち、信頼性が高いと判断する情報源から情報を入手していることが分かります。
健康に関係する食品と購買行動
日本の食の消費が飽和している今日、食の需要は全般的に減少しており、今後の人口減少や少子高齢化はその傾向を、一層促すと予測されています。しかしながら、この傾向の下で、需要の伸びが期待されているのは、健康に関係する食品です。
消費者が、健康に関係する食品、いわゆる健康食品に対し、なぜ価格が多少高くても購入するのでしょうか。それが自身や家族の健康に配慮した行動であることは推測できても、どのような健康意識に基づいているのかについては、十分に明らにされていません。また、いわゆる健康食品を購買するかどうかは、健康に関する情報に大きく左右されることが多い状況です。それは、大多数の消費者は健康に対する理解が不十分であり、いわゆる健康食品の効能についての理解も不完全だからです。
消費者のいわゆる健康食品に関する購買行動について、なぜ一般の食品と違った購買行動を取るのでしょうか。
健康に関係する食品の購入の特徴
健康に関係する食品を購入する際のあるアンケート結果によると、自身の健康状態や健康に対する意識、持っている健康に関する知識に左右されることがわかりました。ある健康食品は価格が少々高くても購入する、ある健康食品の購入はテレビや口コミなどさまざまな情報に左右される、健康食品は医薬品ではないので効果を実感できないということも明らかになりました。
健康に関係する食品の購入動機については、今以上に健康でありたいというよりは、むしろ現在生じている健康不安を減少させたい、将来生じる可能性のある健康不安を回避したいという回答が多くなっています。すなわち、将来の健康不安への漠然とした対応がいわゆる健康食品の購入を動機付けています。
このことは、将来の健康が損なわれることになれば、その損失を重く捉え、未然に回避することを表しています。つまり、健康不安を強く認識することで、健康に関係する食品の購入は、その不安を減少させ、回避することにつながります。将来の健康損失を回避する行動が、購買行動に結びついています。そのため、不安が大きいことから高価格も容認することになります。将来の健康は、現在の健康状態に強く依存していることから、将来の不安がより大きくなることを示しています。健康損失の回避について、なぜ過敏となるのでしょうか。生活をしていく上で、健康に対する意識は高く、自身でコントロールできるからかもしれません。
昨今、幸福に関する研究において、健康は生きていく上で最も重要とされています。健康は自身で管理し、自身で保有していることから、健康を失うことは強い損失感を感じることになります。つまり、健康の保有効果が、損失回避を高めています。健康の保有効果の程度は、自己の健康に対する考え方に依存しています。健康に関係する食品を継続して購入すること、健康に良くないことしたから次は健康に良いことをしようという行動は、心理的な作用によるものです。
健康に関係する食品の購入に影響する要因
今の健康不安や将来の健康不安が、健康に関係する食品の購入にどのように影響を与えることになるのでしょうか。健康不安に影響を与える要因として、健康に対する意識、健康に関する考え方、健康について持っている知識などがあります。健康に関係する食品の購入自体に影響を与える要因としては、その食品について持つイメージ、その食品に関して入手した情報です。
厚生労働省は、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品、いわゆる健康食品(一般食品)に分類しています。しかし、消費者は意識して明確に購入しているわけではなく、より曖昧に考えているかもしれません。
健康に関係する食品の購入についてのあるアンケート調査によると、20~30歳代と40歳代以上で顕著な差が見られました。若年層とそれ以降では、健康に対する考え方や意識などで明らかな差異があることが判明し,40歳代以降は健康に気をつけるようになっていることが伺えます。
また、健康不安は現在よりも将来に対して強いこと、健康に関係する食品のイメージは良く価格はあまり高くないと感じていること、健康に対する考え方は高齢者ほど強いこと、健康に関する知識は大きな差があることが明らかとなっています。
健康に関係する食品の情報の入手先は、家族からが全ての世代で最も高く、次いでテレビや友人、知人となっています。新聞は中高年で信頼性が高く、雑誌やインターネットの信頼性は全世代で低い傾向にあります。すなわち、信頼性が高いと判断する情報源から情報を入手していることが分かります。しかし、家族や友人、知人もどこからか情報を得てくるので、それがテレビやインターネットであれば、この健康情報が口コミで広がって、購入に結びつくことがあり得ることを示唆しています。
まとめ
日本の食の消費が飽和している今日、食の需要は全般的に減少しており、今後の人口減少や少子高齢化はその傾向を、一層促すと予測されています。しかしながら、この傾向の下で、需要の伸びが期待されているのは、健康に関係する食品です。
あるアンケートによると、健康に関係する食品の購入動機については、今以上に健康でありたいというよりは、むしろ現在生じている健康不安を減少させたい、将来生じる可能性のある健康不安を回避したいという回答が多くなっています。このことは、将来の健康が損なわれることになれば、その損失を重く捉え、未然に回避することを表しています。つまり、健康不安を強く認識することで、健康に関係する食品の購入は、その不安を減少させ、回避することにつながります。将来の健康損失を回避する行動が、購買行動に結びついています。そのため、不安が大きいことから高価格も容認することになります。
また、健康に関係する食品の情報の入手先は、家族からが最も高く、次いでテレビや友人、知人となっています。新聞は中高年で信頼性が高く、雑誌やインターネットの信頼性は低い傾向にあります。すなわち、信頼性が高いと判断する情報源から情報を入手していることが分かります。