アイスクリームの市場規模
アイスクリームの市場規模は、2019年度で5,151億円となります。2011年度以降、2018年度まで7年連続で市場の拡大を果たしていますが、2019年度は7月の天候不順の影響を受け販売が落ち込み、前年比99.3%と8年連続の規模拡大とはなりませんでした。アイスクリーム業界は天候要因の占めるウェイトが大きいと言われています。今年3月以降は、感染症の影響を受け、業務用製品は大幅に売上が縮小しています。
種類別実績としては、アイスクリームやアイスミルク、ラクトアイスが前年を下回り、氷菓が僅かながら上回っています。形態別実績としては、その他一般、モナカ、マルチタイプの順です。その他一般とは、1口タイプやサンドタイプ、もちアイス、飲むタイプ、ケーキが該当し、アイスクリーム市場で従来の形態にとらわれない製品が多く、継続的に市場が伸びています。 モナカはワンハンドでの食べやすさ、マルチタイプは家庭での買い置き需要の定着が要因のようです。
2020年度も7月は低温と長雨に見舞われ、前年をさらに下回る状況です。1年で1番アイスが売れるのが7月、2番目が8月という最需期に向け、食品メーカーは春先から、早々に作りだめを行っており、倉庫は満杯の状態が続いています。
アイスクリームの原材料
アイスクリームには、厳しい規格に適合した原材料が使用されています。
・牛乳及び乳製品
アイスクリームの主な原材料は、牛乳と乳製品です。乳製品には、クリームやバター、脱脂濃縮乳や脱脂粉乳があります。アイスクリームにミルクの風味やコク、口溶けのなめらかさを付与します。
・糖質
アイスクリームを作るためには、適度な甘さはかかせません。砂糖やブドウ糖、水あめなどを使用します。糖質は、アイスクリームの口溶けをなめらかにします。
・植物油脂
乳脂肪の代替となる原材料です。主にヤシ油やパーム油などが用いられます。すっきりとした口あたりになります。
・風味を付与する成分
さまざまな風味を作るために、チョコレートやストロベリー、抹茶、あずきなどの原材料が使われています。
・食品添加物
ローカストビーンガムやグアガム、ゼラチン、寒天、ペクチンなどの安定剤は、形状を維持する役割があります。レシチンやグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤は、水と油を均一に分散させる役割があり、脂肪と氷と細かい空気の泡からできているアイスクリームの成分を均一にする働きがあります。バニラエッセンスや果物から抽出したフレーバーは、アイスクリームの香りを引き立たせます。クチナシや野菜色素などの着色料は、アイスクリームに鮮やかな色を添えます。
アイスクリームの製造方法
一般的なアイスクリームの製法を紹介します。
1 原材料の計量
レシピに基づき、牛乳やクリーム、バターなどの乳製品、糖質、植物性油脂などを計量します。
2 原材料の混合
混合タンクに原材料を投入し、加温溶解します。
3 ろ過
混合した原材料から、不純物などを取り除くために、ろ過装置を通します。
4 均一化
混合した原材料をホモゲナイザーという設備で細かくし、成分を均一にします。
5 殺菌及び冷却
混合した原材料を68℃以上で30分間加熱殺菌し、0~5℃まで冷やします。
6 エージング
0~5℃でしばらく貯蔵し、質感をなめらかにします。
7 フリージング
混合した原材料を撹拌し、空気を混入させながら、急速に冷却し、半凍結の状態にします。この工程で水分が細かい氷の結晶となり、なめらかな食感になります。
8 充填
半凍結の状態で、カップなどの容器に充填します。
9 硬化
マイナス30℃以下のトンネルフリーザーで連続的に凍結させます。
10 検査
重量や異物混入の有無、成分検査、菌検査を行います。
11 保管
マイナス25℃以下の冷凍庫で保管します。
12 出荷
冷凍車にて出荷します。
ちなみにアイスクリームを製造する工場には、たいてい社員食堂などに大きなショーケースがあり、好きなだけタダでアイスを楽しむことができます。
アイスの種類
乳成分量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の4つに分類されます。定義と成分規格は、食品衛生法によって定められています。
1 種類別アイスクリーム
乳固形分15.0%以上、うち乳脂肪分8.0%以上となり、乳固形分と乳脂肪分が最も多く含まれています。
2 種類別アイスミルク
乳固形分10.0%以上、うち乳脂肪分3.0%以上となり、乳固形分と乳脂肪分はアイスクリームに比べて少なくなっています。植物油脂が使われることもあります。
3 種類別ラクトアイス
乳固形分3.0%以上となり、乳固形分は種類別アイスミルクよりさらに少なく、植物油脂が使われることもあります
4 種類別氷菓
乳固形分はほぼありません。果汁などを凍らせたアイスやかき氷などがあります。
賞味期限
アイスクリームは、マイナス18℃以下で保管することで、温度管理がきちんとされていれば、細菌が増えることはなく、長期間保存しても品質変化は極めてわずかです。消費者庁 食品表示基準の規定により、アイスクリーム類にあっては期限及びその保存方法を省略することができると定められています。
また、家庭の冷凍庫に保管し、扉の開閉が多い場合、庫内の温度変化が大きくなります。このような状態で長期保管すると氷の結晶が大きくなり、食べたときになめらかさが失われ、おいしくなくなります。
アイスを食べた時の頭痛
アイスクリームを食べたとき、キーンとくる頭痛には、2つの説が有力とされています。ひとつは、冷たい物が喉を通るとき、喉にある神経が刺激され、その伝達信号を脳が痛みと勘違いして頭痛が生じるとのことです。もうひとつは、冷たいものを食べると急に喉や口の中が冷えるため、人間の身体は一時的に血流量を増やして温めようとし、脳につながる血管が膨張して頭痛が起きるとのことです。
ゆっくり時間をかけて食べることでこの頭痛は、生じにくくなります。
まとめ
アイスクリームの市場規模は、2019年度で5,151億円となります。アイスクリーム業界は天候要因の占めるウェイトが大きいと言われています。
アイスクリームには、厳しい規格に適合した原材料が使用されています。アイスクリームの主な原材料は、牛乳と乳製品です。乳製品には、クリームやバター、脱脂濃縮乳や脱脂粉乳があります。アイスクリームにミルクの風味やコク、口溶けのなめらかさを付与します。
アイスクリームのなめらかさに影響する製法のポイントは、原材料を均一化することとフリージングで混合した原材料を撹拌し、空気を混入させながら急速に冷却することです。ホモゲナイザーで原材料を均一化すること、そして攪拌しながら半凍結させることで空気が多量に含まれ、口溶けのなめらかなアイスクリームができあがります。
乳成分量によって、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、氷菓の4つに分類されます。定義と成分規格は、食品衛生法によって定められています。
アイスクリームは、マイナス18℃以下で保管することで、温度管理がきちんとされていれば、細菌が増えることはなく、長期間保存しても品質変化は極めてわずかです。消費者庁 食品表示基準の規定により、アイスクリームは賞味期限表示を省略することができます。
アイスクリームは、ゆっくり時間をかけて食べることで、頭痛が生じにくくなります。