【違い】日本の「昆布茶」と海外の「コンブチャ」

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日本の「昆布茶」

 昆布茶は、昆布を乾燥させ細かく刻むか、あるいは粉末状にしたものにお湯を注いで飲む飲物です。塩味を付与したタイプや玉露を加えたタイプもあります。昆布のうま味を研究した結果、うま味成分がグルタミン酸ナトリウムということがわかり、昆布茶はうま味調味料の代替品として使用されています。

 昆布茶の歴史は、江戸時代にさかのぼります。刻んだ昆布にお湯を注いで飲み、飲んだ後は出がらしとなった昆布を食べていたようです。

 粉末の昆布茶が登場したのは、1918年です。作ったのは、玉露園の「こんぶ茶」が粉末昆布茶の元祖となります。 江戸時代から続く昆布茶は、昆布にお湯を注ぐだけのものでしたが、昆布茶を粉末にし、調味料を配合してより簡単にお湯に溶かして飲む発想は、当時画期的なアイデアでした。

 まずは味の良い昆布を見つけるため、東北や北海道などを行脚し、北海道知床岬の付近で採れる羅臼産の昆布を原材料として、採用しました。ここで採れる羅臼昆布は、繊維質が軟らかく、香りが非常に良いのが特徴です。だしはもちろんのこと、高級塩昆布や煮昆布としても使われる最高級品でした。何もないところから新たな製品を生み出すことは、簡単ではありませんが、昆布を粉末化し、塩や砂糖などの調味料の配合を検討することで、念願の「こんぶ茶」が完成しました。最初は細々とした商売でしたが、次第に「今までの昆布茶よりも美味しい。」、「手軽にお湯を注ぐだけで飲めて、味わい深い。」と高く評価されるようになりました。

 昨今では、製品そのものの見直しもなされています。昆布には、カルシウムやヨード、カリウムなどのミネラルをはじめ、ビタミン類、食物繊維など多くの栄養素が含まれています。 これらが体内で消化吸収されやすいように、遠赤外線で乾燥させた昆布を300meshという超微粒子になるまで粉砕しています。 これほどの微粒子となると一定の品質を保ちながら長期保存ことが困難です。その問題を解決するため、造粒装置でこの粉末を顆粒化し、今では顆粒品が主流となっています。

 昆布茶の市場規模は、50億円前後です。大きい市場ではありませんが、玉露園はここで約60%ものシェアを誇っています。

 昆布茶の飲物としての需要は、年々減りつつありますが、全体の販売数量は伸びています。その理由としては、主に業務用として使われる調味料の需要にあります。 もともと原材料は昆布で、使い勝手が良い粉末状に加工されています。おでんや和風パスタなどと相性が良く、総菜店やパスタ専門店、コンビニなどの弁当では昆布茶を隠し味として、使用しています。業務用としてだけでなく、メディアで昆布茶が取り上げられることで、最近は一般家庭でも昆布茶を調味料として使うことが増えています。

アメリカをはじめとした海外の「コンブチャ(KOMBUCHA)」

 ところ変わって、アメリカなどでも「コンブチャ(KOMBUCHA)」は人気を博しています。原産国はアメリカなどで、砂糖や茶葉、酵母などが原材料として使用され、瓶や缶などに充填して販売されています。アメリカなどでは次世代の健康飲料としての位置づけです。

 この「コンブチャ」は、日本の昆布茶とはまったくの別物です。アメリカをはじめ、海外の人が、「コンブチャ」と聞いて思い浮かべるものは、中国東北部を原産とする酸性度の高い発酵茶です。

 この「コンブチャ」は、日本で言う「紅茶キノコ」が該当します。「コンブチャ」は、茶葉に砂糖、酢酸菌や酵母菌を加えて発酵させて作られる飲物です。1週間以上の発酵過程の中で、菌が糖質と茶葉を分解し、甘酸っぱい風味の炭酸飲料をつくります。飲物には、発酵過程で生成するビタミンB群や有機酸、抗酸化成分などのほか、アルコールを含んでいます。このアルコールは、酵母が砂糖を分解した時に生成し、酢酸菌がそのほとんどを酢酸などの有機酸に変えることで、アルコールとしては飲物の中にはほとんど残りません。

 さらにショウガやレモン、ぶどう、スパイスなどを加え、飲物に独特なフレーバーを持たせることもあります。

 「コンブチャ」には、有機酸のほかにビタミンCをはじめ、ビタミンB1やビタミンB6、ビタミンB12が含まれることから、健康にいいという理由で、愛飲されています。

 「コンブチャ」の成分については、以前から世界中で研究が重ねられてきました。これまでの研究結果によると、整腸作用や抗酸化作用、消化の促進などが報告されています。

 「コンブチャ」を自宅でつくる場合は、ティーバックなどで市販されている紅茶あるいは緑茶などの茶葉をお湯で抽出し、砂糖を加え、放冷した後、市販されている「コンブチャ」用の菌を加えます。容器に移し替え、密封しない程度に蓋をし、10〜14日間発酵させます。酵母が糖質を分解することで二酸化炭素とアルコールが生成し、酢酸菌によってアルコールが分解され、有機酸となることで酸味が生じます。さらに砂糖を追加して、発酵をさせると炭酸が強くなります。また、このときにショウガやレモン、ぶどう、スパイスを加え、特有のフレーバーを付与することもできます。完成した「コンブチャ」は、冷蔵により発酵を緩やかにすることで、保存が可能です。

 なお、日本の大手飲料メーカーからも、「コンブチャ」が販売されています。

まとめ

 昆布茶は、昆布を乾燥させ細かく刻むか、あるいは粉末状にしたものにお湯を注いで飲む飲物です。塩味を付与したタイプや玉露を加えたタイプもあります。昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることから、昆布茶はうま味調味料の代替品として使用されています。

 アメリカをはじめ、海外の人が、「コンブチャ」と聞いて思い浮かべるものは、中国東北部を原産とする酸性度の高い発酵茶です。この「コンブチャ」は、日本で言う「紅茶キノコ」を指しています。「コンブチャ」は、茶葉に砂糖、酢酸菌や酵母菌を加えて発酵させて作られる飲物です。1週間以上の発酵過程の中で、菌が糖質と茶葉を分解し、甘酸っぱい風味の炭酸飲料をつくります。飲物には、発酵過程で生成するビタミンB群や有機酸、抗酸化成分などのほか、微量のアルコールを含んでいます。

 さらにショウガやレモン、ぶどう、スパイスなどを加え、飲物に独特なフレーバーを持たせることもあります。

 機会があれば、「昆布茶」と「コンブチャ」を飲み比べてみては、いかがでしょうか。

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