【原核生物と真核生物による】光合成の機構

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 原核生物は、3種の異なったはっきり分けることのできる光合成生物を含んでいます。酸素発生型光合成を行うラン藻は、基本的に光合成真核生物と同様の色素系を持っています。紅色細菌及び緑色細菌は、酸素非発生型の光合成を行ない、その特有な色素系のため、これらの細菌はほかのすべての光合成生物とは異なった特別なスペクトル的性質を示します。

 ラン藻の光合成機構は、真核生物の中でも特定して言えば紅藻の光合成機構と酷似しています。ラン藻と紅藻は、クロロフィル色素としてクロロフィルaのみを含み、フィコビリたんぱく質として知られる色素たんぱく質が主に光を吸収する色素です。

 紅色細菌及び緑色細菌は、ほかの光合成生物と比べ、ほとんどの性質が異なっています。これらの細菌はCO2同化の還元剤としてH2Oを用いることができません。還元は、H2SやH2によって行われます。

 光合成は細胞内の独特の部位に存在しています。紅色細菌では、原形質膜が複雑にたたみこまれた部位に存在します。緑色細菌も反応中心は、原形質膜中に存在しますが、光を吸収するバクテリオクロロフィルは特別な小器官に存在しています。紅色細菌及び緑色細菌のクロロフィルは、植物クロロフィルと同じ基本構造を持ち、同じ生合成経路で合成されます。しかし、細菌のクロロフィルは、これら2種の細菌群にのみ認められるので、バクテリオクロロフィルと呼ばれます。

 すべての色素が、光の吸収に関して同様に有効であることはなく、ラン藻の場合クロロフィルaはフィコビリたんぱく質に比べはるかに劣ります。光合成真核生物の細胞の吸収スペクトルは、ラン藻の吸収スペクトルに近似しています。一方、紅藻は550~630nmの波長の範囲に主な吸収ピークがあり、これはフィコビリたんぱく質による吸収です。

光合成原核生物

 原核生物は、3種の異なったはっきり分けることのできる光合成生物を含んでいます。酸素発生型光合成を行うラン藻は、基本的に光合成真核生物と同様の色素系を持っています。ラン藻は、長い間植物学者によって藻類のひとつの主要な綱または門として取り扱われてきました。しかし、微生物の持つ典型的な原核細胞構造によって、細菌に属することは明らかです。ラン藻は大きな群であり、構造的にも多用で、繊維状及び単細胞性の多くの異なった形状のものを含んでいます。運動性のあるものは、滑走によります。

 紅色細菌及び緑色細菌は、酸素非発生型の光合成を行ない、その特有な色素系のため、これらの細菌はほかのすべての光合成生物とは異なった特別なスペクトル的性質を示します。大部分の緑色細菌は、小型、非運動性、桿状の生物です。紅色細菌は、桿状、球状、またはらせん状でしばしば鞭毛により運動します。これらの細菌は、非光合成細菌と明らかに構造が類似しているので、その分類について疑問を持たれたことがなく、19世紀の半ばに発見されて以来、細菌として位置付けられてきました。

原核生物及び葉緑体における光合成機構

 ラン藻の光合成機構は、真核生物の中でも特定して言えば紅藻の光合成機構と酷似しています。ラン藻と紅藻は、クロロフィル色素としてクロロフィルaのみを含み、フィコビリたんぱく質として知られる色素たんぱく質が主に光を吸収する色素です。これらの色素たんぱく質は、クロロフィル及びカロテノイドと異なり、チラコイドに組み込まれていませんが、その代わりにチラコイドの外側に付着しているフィコビリソームと呼ばれる特殊な構造体中に存在しています。

 紅色細菌及び緑色細菌は、ほかの光合成生物と比べ、ほとんどの性質が異なっています。これらの細菌はCO2同化の還元剤としてH2Oを用いることができません。還元は、H2SやH2によって行われます。紅色細菌及び緑色細菌の両者とも、光合成の色素系及び脂質は大部分が群特異的です。

 光合成は細胞内の独特の部位に存在しています。紅色細菌では、原形質膜が複雑にたたみこまれた部位に存在します。緑色細菌も反応中心は、原形質膜中に存在しますが、光を吸収するバクテリオクロロフィルは特別な小器官に存在しています。

 紅色細菌及び緑色細菌のクロロフィルは、植物クロロフィルと同じ基本構造を持ち、同じ生合成経路で合成されます。しかし、細菌のクロロフィルは、これら2種の細菌群にのみ認められるので、バクテリオクロロフィルと呼ばれます。

 バクテリオクロロフィルは、2種類のサブクラスに分けることができます。すなわち、バクテリオクロロフィルa、b、c、d、eです。このサブクラスは、それらの生物群における分布と関係があります。紅色細菌は、バクテリオクロロフィルaまたはbのうちいずれか1種のみを含みます。紅色細菌においてバクテリオクロロフィルは、部分的に光の吸収に関係し、部分的に光化学反応中心とかかわりを持ちます。緑色細菌は、常にバクテリオクロロフィルの主成分と副成分の両方を含んでいます。種により異なりますが、主成分はバクテリオクロロフィルc、d、eであり、主成分は光の吸収に関与します。すべての緑色細菌における副成分色素は、バクテリオクロロフィルaであって、これが光化学反応中心におけるクロロフィルとなります。

 カロテノイドは、光の吸収色素として機能し、400~500nmの間の青緑領域の光を吸収します。光の吸収という機能におけるカロテノイドの貢献の度合いは、一部の光合成生物では主要なものですが、ほかの光合成生物では副次的です。光合成生物を比較すると、カロテノイドの組成は複雑で、群特異的な傾向があります。しかし、真核光合成生物は、すべて主要成分として類似したカロテノイドを持ちます。カロテノイドの組成の点で、ラン藻は真核生物に似ています。

 フィコビリたんぱく質は、ラン藻と紅藻における主要な光吸収色素です。フィコビリたんぱく質は、フィコビリソームと呼ばれる顆粒中に含まれ、この顆粒はチラコイドの外側に規則的に配列しています。これらの色素により吸収された光エネルギーは、非常に高い効率でチラコイド中に存在するクロロフィルを含む反応中心に移されます。

 すべての色素が、光の吸収に関して同様に有効であることはなく、ラン藻の場合クロロフィルaはフィコビリたんぱく質に比べはるかに劣ります。光合成生物の細胞の吸収スペクトルにより、光合成を行なうときに用いられるスペクトルの範囲を大まかに推定できます。光合成真核生物の細胞の吸収スペクトルは、ラン藻の吸収スペクトルに近似しています。一方、紅藻は550~630nmの波長の範囲に主な吸収ピークがあり、これはフィコビリたんぱく質による吸収です。

まとめ

 原核生物は、3種の異なったはっきり分けることのできる光合成生物を含んでいます。酸素発生型光合成を行うラン藻は、基本的に光合成真核生物と同様の色素系を持っています。紅色細菌及び緑色細菌は、酸素非発生型の光合成を行ない、その特有な色素系のため、これらの細菌はほかのすべての光合成生物とは異なった特別なスペクトル的性質を示します。

 ラン藻の光合成機構は、真核生物の中でも特定して言えば紅藻の光合成機構と酷似しています。ラン藻と紅藻は、クロロフィル色素としてクロロフィルaのみを含み、フィコビリたんぱく質として知られる色素たんぱく質が主に光を吸収する色素です。

 紅色細菌及び緑色細菌は、ほかの光合成生物と比べ、ほとんどの性質が異なっています。これらの細菌はCO2同化の還元剤としてH2Oを用いることができません。還元は、H2SやH2によって行われます。

 光合成は細胞内の独特の部位に存在しています。紅色細菌では、原形質膜が複雑にたたみこまれた部位に存在します。緑色細菌も反応中心は、原形質膜中に存在しますが、光を吸収するバクテリオクロロフィルは特別な小器官に存在しています。紅色細菌及び緑色細菌のクロロフィルは、植物クロロフィルと同じ基本構造を持ち、同じ生合成経路で合成されます。しかし、細菌のクロロフィルは、これら2種の細菌群にのみ認められるので、バクテリオクロロフィルと呼ばれます。

 すべての色素が、光の吸収に関して同様に有効であることはなく、ラン藻の場合クロロフィルaはフィコビリたんぱく質に比べはるかに劣ります。光合成真核生物の細胞の吸収スペクトルは、ラン藻の吸収スペクトルに近似しています。一方、紅藻は550~630nmの波長の範囲に主な吸収ピークがあり、これはフィコビリたんぱく質による吸収です。

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