長寿日本一を宣言している大宜味村とシークヮーサー
長寿として知られる沖縄県の中で、長寿日本一を宣言しているのが、大宜味村(おおぎみそん)です。大宜味村の方々は自然の恵みにその糧を求める伝統的食文化の中で、長寿を全うし、人生を謳歌しています。長寿の秘訣のひとつは、木々の深い緑、燦々と降り注ぐ太陽、澄んだ空気と清らかな水、手つかずの大らかな自然に恵まれた美しい環境の中で、生き甲斐を感じながら、気負わず、あせらず、ゆったりと暮らすことのようです。もうひとつは、食生活です。大宜味村では、豆腐や豚肉、魚介類などのたんぱく質や緑黄色野菜、果実の摂取量が高く、一方塩分の摂取量が9g/日と厚生労働省が目標としている10g/日以下を達成しています。
大宜味村を象徴するネクマチヂ岳(360m)と連なる石灰岩の山々の中腹でシークヮーサーは生まれ育っています。甘酸っぱく、食べ始めると止まらない独特な味は、健康長寿の源になっています。その味は石灰岩の森からの贈りものです。 シークヮーサーは、ミカン科に属し沖縄を中心に原生する小果の寛皮柑橘で果皮が緑色、未熟の間は酸が強く、黄色に熟したものは適度の甘味と酸味があります。「シー」は酸、「クヮーサー」は食べさせるという意味です。主な栄養成分としては、代謝を活性化させ、疲労回復に効果のあるビタミンCを多く含んでいるほか、ビタミンB1、各種ミネラルなども含有しています。特にノビレチンという成分には、さまざまな作用があることが発見され、長寿との関連が注目されています。
シークヮーサーの成分と期待される効果
シークヮーサーの果皮と果汁にはノビレチンをはじめとする6種類のフラボノイドが含まれています。
フラボノイドであるノビレチンには、認知症の予防や血糖値の上昇を抑える働きがあることがわかっています。さらにノビレチンは慢性リウマチの予防や治療にも効果があることもわかり、シークヮーサーは全国的にも有名になりました。
ノビレチンはオレンジや温州ミカンなど柑橘系の植物に多く含まれる成分ですが、飛び抜けて含有量が多いのがシークヮーサーです。
大学などの研究機関がシークヮーサー及びその有効成分であるノビレチンの抗認知症作用について検討したところ、顕著な記憶障害改善作用、つまりアルツハイマー型認知症の原因物質の沈着抑制作用、神経細胞の成長促進効果を発見するに至っています。アルツハイマー型認知症においては、いくつかの重要な神経病理変化が観察されます。その代表的な特徴のひとつである老人斑は、アルツハイマー型の原因物質となるアミロイドβが線維化し細胞外に沈着したものです。ノビレチンは、このアミロイドβを減少させるとともにその沈着も減少させます。大学などの研究機関では、培養した神経細胞と学習記憶障害モデル動物を用いて、ノビレチンの効果を検証し、有効な科学的証拠を得ています。ノビレチンは、脳の神経細胞にある突起を伸ばす働きがあります。脳では情報や指令が、電気刺激として神経を伝わりますが、隣り合う神経細胞からそれぞれ手のように突起を伸ばし繋がり合います。神経突起が長く伸びれば伸びるほど、神経同士のネットワークがしっかりと構築されます。つまり、脳機能が維持されることで、アルツハイマー型認知症を予防する効果があるといえます。マウスを用いた実験で、効果の検証がなされています。
ノビレチンには、血糖値の上昇を抑える効果があります。ノビレチンには脂肪細胞が分泌するアディポネクチンの分泌を促す働きがあります。アディポネクチンはインスリンの分泌を抑える働きがあるため、糖尿病の予防効果が期待されます。
ノビレチンにはアレルギーを抑制する効果があります。アレルギーとは、体の免疫機能のバランスが崩れてしまうことで、体が特定の物質に過剰に反応してしまっている状態のことです。アルレギー反応は体内のヒスタミンなどの物質が放出されることで起こります。ノビレチンは、この物質の放出を抑制する働きがあります。
まとめ
長寿として知られる沖縄県の中で、長寿日本一を宣言しているのが、大宜味村です。大宜味村の山々の中腹でシークヮーサーは生まれ育っています。甘酸っぱく、食べ始めると止まらない独特な味は、健康長寿の源になっています。
シークァーサーに多く含まれるノビレチンには、アルツハイマー型認知症の予防や血糖値の上昇の抑制、アレルギーの抑制などさまざまな働きが報告されています。記憶力が気になる方や生活習慣病を予防したい方、アレルギー症状を予防したい方は、シークァーサーの皮ごと絞ったジュースやノビレチンを配合した健康食品を試してみてはいかがでしょうか。