スーパーやコンビニでの買い物のほとんどは、自動化されています。多くの消費者は、無意識に製品を選び、買っています。そもそも、スーパーやコンビニに行き、毎回ひとつの製品を選ぶたびに今日はどのブランドを買おうと悩むのは煩わしく、手間がかかりすぎます。そのため、購入頻度が高くリスクの少ない製品の買い物は、選択の努力がいらず、すばやく正確に処理できる自動化されたものになっています。
多くのブランドは、指名買いをしてもらうためにしのぎを削っています。顧客満足度や顧客ロイヤルティーの向上が重要だと考え、さらにもっと多くの売り上げを獲得するために、他社からのブランドの切り替えを企てています。しかし、多くの消費者は自動的にいつもの製品を購入しています。
人は、いろいろな習慣を持っています。無意識で行われる自動化された習慣は、脳のメカニズムと関係しています。意識しなくても、素早く、正確に行うことができる自動化された習慣は、全て長年のトレーニングや反復の中ででき上がったものです。
買い物も同様で、自社製品の購入を自動化するためには、消費者に何度も何度もその製品を買うという行為を反復してもらう必要があります。そして、脳でどの製品を買うか、買わないかを考える判断を働かせず、習慣で買ってもらうことです。そういう習慣に支配された状態になれば、消費者は自動的に買い物をするようになります。
ひとたび問題が発生すると、習慣ではなく、判断が働くことになります。製品の品質に疑問を感じ、友人や知人から良くない口コミを聞くと、判断が働き出し、自動化された買い物リストからその製品が外されることになります。判断が支配している限り、安定的なリピート購買は発生しません。習慣で買ってもらうためには、判断が関与せず、習慣で買い続けてもらうことです。
どうしてあの製品を自動的に買ってしまうのか
スーパーに買い物に行くとき、誰しもが買うものを忘れないようにメモ書きを持って行った経験があることでしょう。そのとき、何と書いているでしょうか。おそらく、しょう油、みそ、マヨネーズ、ドレッシングなどと書いているはずで、○○メーカーの○○しょう油、○○製の○○ドレッシングなど具体的な製品名を書き込む人はほとんどいません。
メモを片手にスーパーに行き、ほとんど迷わずにいつもの製品を買うはずです。きっと、しょう油やドレッシングの棚の前に立ち止まっている時間は、わずか数秒程度です。メモには、特定のブランドが書き込まれているわけではありません。
ここには、競争が激しい現代におけるマーケティング戦略が垣間見えます。買い物をするとき、脳内では何が起こっているのでしょうか。
スーパーやコンビニでの買い物のほとんどは、自動化されています。多くの消費者は、無意識に製品を選び、買っています。そもそも、スーパーやコンビニに行き、毎回ひとつの製品を選ぶたびに今日はどのブランドを買おうと悩むのは煩わしく、手間がかかりすぎます。そのため、購入頻度が高くリスクの少ない製品の買い物は、選択の努力がいらず、すばやく正確に処理できる自動化されたものになっています。
多くのブランドは、指名買いをしてもらうためにしのぎを削っています。顧客満足度や顧客ロイヤルティーの向上が重要だと考え、さらにもっと多くの売り上げを獲得するために、他社からのブランドの切り替えを企てています。しかし、多くの消費者は自動的にいつもの製品を購入しています。
逆に言うと、自動的に買ってもらえる製品になることができれば、長い間、マーケティングを有利に進めることができます。
習慣による日常の支配
人は、いろいろな習慣を持っています。朝起きて顔を洗って歯を磨く、決まった通勤ルート、コンビニに寄って購入する飲み物、ランチに行くお店、パソコンで使うフォントや体裁、飲みに行くお店、暇をつぶすスマホアプリ、お風呂で体を洗う順番、寝る前に見るテレビ番組、そのほかにもさまざまな習慣があります。
これらは、ほぼ全てが無意識的に行われる自動化されたものです。無意識で行われる自動化された習慣は、脳のメカニズムと関係しています。
人の脳は、短期記憶と長期記憶の2つの記憶によって情報を処理しているといわれています。短期記憶は、15秒以内に90%以上の情報を忘れてしまう場所で、1度に処理できる情報量が限られています。
電話番号やメールアドレスを入力する際、忘れてしまい何度か見直すことがあります。それは、短期記憶の容量を超えてしまい、時間が経過することで忘却してしまうからです。用が済めば忘れてしまうが、必要なときに数十秒だけ記憶しておく場所が短期記憶です。
知識や過去の体験を格納しておく長期記憶の記憶容量は、無制限ともいわれています。長期記憶に1度格納された情報は、本人が忘れているつもりでも、必ず長期記憶に残っています。
普段の生活の中で忘れていたことであっても、昔のアルバムを見た瞬間に以前の記憶が鮮明に蘇ることがあります。懐かしいにおいをかいで、幼少期や祖父母の家で過ごした日々が蘇ることもあるかもしれません。これらは、写真やにおいという外部からの刺激によって、長期記憶の中に格納されていた情報が引き出されたからです。
自動化される思考や行動
嗜好や行動の自動化は、どのようにして形成されるのでしょうか。通勤通学経路、パソコンのブラインドタッチ、日本語を話すことなどは、ほぼ無意識で行われています。意識しなくても、素早く、正確に行うことができる自動化された習慣は、全て長年のトレーニングや反復の中ででき上がったものです。
そのため、何十回も何百回も反復したものではない新しいことは、たどたどしくなってしまいます。これは長期記憶に必要な情報を検索しに行かなければならず、情報の高速処理を完結することができないからです。
買い物も同様です。自社製品の購入を自動化するためには、消費者に何度も何度もその製品を買うという行為を反復してもらう必要があります。そして、脳でどの製品を買うか、買わないかを考える判断を働かせず、習慣で買ってもらうことです。
そういう習慣に支配された状態になれば、消費者は自動的に買い物をするようになります。
習慣で買われる製品になる方法
ひとたび問題が発生すると、習慣ではなく、判断が働くことになります。製品の品質に疑問を感じ、友人や知人から良くない口コミを聞くと、判断が働き出し、自動化された買い物リストからその製品が外されることになります。判断が支配している限り、安定的なリピート購買は発生しません。
では、習慣で買い続けてもらうためには何が大切なのでしょうか。自社ブランドの指名買いやリピート購買を促すためには、顧客満足が重要と考えますが、習慣で買ってもらうためには、判断が関与せず、習慣で買い続けてもらうことです。すなわち、顧客満足を向上させるよりも、顧客の不満足をなくすことのほうが大切になります。
自社のブランドを買ってくれている顧客の多くは、満足しているから買い続けているのではなく、不満がないから買い続けてくれています。品質が落ちたかもしれないという違和感や不満足は、判断を呼び起こします。そして、すぐさま自動化された買い物リストから除外してしまうことになります。自社製品を自動的に買ってもらいたいのであれば、顧客の不満足を限りなくなくすことです。
消費者が店頭で特定の製品を選ぶ時間は、平均して1~3秒程度と言われています。その短い時間で自社ブランドが選ばれるためには、同一カテゴリー内の数あるブランドの中で一番に想起される必要があります。
あらゆる製品がコモディティ化する現在のマーケティング環境において、想起される製品の移り変わりが激しいことから、仮に自社ブランドが想起される製品の中で1位になったとしても、その座を維持し続けることが重要です。
競合に比べて十分なマーケティング予算がなく、広告などが限られていると、想起される製品の中で1位を獲得できないブランドも多く見受けられます。その場合は、なんとなくこの製品が好きといったポジションを獲得し、情緒的な関係を構築します。
そのためには、広告だけでなく、ソーシャルメディアなどを活用して、顧客と緩やかなつながりを持つことです。恒常的なコミュニケーションをとり続けることで、ブランドに対する親しみや好意を少しずつ高めることが可能となります。
消費者がECサイトからあの製品を購入する理由
インターネットの普及で、価格の比較が容易にできるようになりました。価格比較サイトが人気なように、類似製品や同一性品の価格を比較し、一番安い製品を買うという消費者も多いです。
ただし、価格競争に参戦するのは優れた戦略ではありません。一度安さを追求したら、後戻りはできなくなります。そのためには、買いたくなるメリットを価格以外で与えられるようにすることです。
多くの場合、消費者は単に製品を買いたいのではなく、悩みを解決してくれるものを買いたいと思っています。深刻な悩みを解決してくれると感じたら、少しくらい高いと思っても購入を決意します。
それぞれの製品には、対象となる消費者と、どのような悩みを解決してくれるものなのかが、明確になっています。ターゲットとなる消費者が抱いている悩みに対して、どのような形でサポートできるのかを消費者に感じてもらうことが大切です。
製品が高額になるほど、購入前にインターネットで製品のレビューを確認する消費者も多くなります。実際に使った人の声は、製品の宣伝よりもずっと参考になるからです。誰でも損したくないと思っており、後悔することのない買い物をするためにも、レビューは消費者にとって役に立ちます。
大手のECサイトの魅力は、買い物がしやすいサイトの構成にあります。製品の探しやすさや関連製品の見つけやすさに優れ、ワンクリックで製品が購入できる仕組みは、当初画期的でした。
どのECサイトから買っても値段がほぼ変わらないとき、消費者は自使いやすいECサイトから購入します。反対に値段が安い製品を扱っていても、ECサイトが使いにくいと買う気持ちが失せてしまうことになります。
まとめ
スーパーやコンビニでの買い物のほとんどは、自動化されています。多くの消費者は、無意識に製品を選び、買っています。そもそも、スーパーやコンビニに行き、毎回ひとつの製品を選ぶたびに今日はどのブランドを買おうと悩むのは煩わしく、手間がかかりすぎます。そのため、購入頻度が高くリスクの少ない製品の買い物は、選択の努力がいらず、すばやく正確に処理できる自動化されたものになっています。
多くのブランドは、指名買いをしてもらうためにしのぎを削っています。顧客満足度や顧客ロイヤルティーの向上が重要だと考え、さらにもっと多くの売り上げを獲得するために、他社からのブランドの切り替えを企てています。しかし、多くの消費者は自動的にいつもの製品を購入しています。
人は、いろいろな習慣を持っています。無意識で行われる自動化された習慣は、脳のメカニズムと関係しています。意識しなくても、素早く、正確に行うことができる自動化された習慣は、全て長年のトレーニングや反復の中ででき上がったものです。
買い物も同様で、自社製品の購入を自動化するためには、消費者に何度も何度もその製品を買うという行為を反復してもらう必要があります。そして、脳でどの製品を買うか、買わないかを考える判断を働かせず、習慣で買ってもらうことです。そういう習慣に支配された状態になれば、消費者は自動的に買い物をするようになります。
ひとたび問題が発生すると、習慣ではなく、判断が働くことになります。製品の品質に疑問を感じ、友人や知人から良くない口コミを聞くと、判断が働き出し、自動化された買い物リストからその製品が外されることになります。判断が支配している限り、安定的なリピート購買は発生しません。習慣で買ってもらうためには、判断が関与せず、習慣で買い続けてもらうことです。