【生存戦略】植物と動物の戦いと植物による動物の利用

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 植物はじっとして動くことができません。ただただ食べられたりするだけで、人からみると受け身な生き方に思われます。人と異なり、敵に襲われても走って逃げることもできません。しかし、植物は人とはまったく異なる、防衛能力を持っています。

 中でも植物が広く活用しているのは、化学物質による防衛能力です。植物の成長には、必要ないけれども、人や動物には毒であったり、有害であったりする化学物質をつくり出すことで、食べられにくくしています。とはいえ、人や動物もそう簡単に引き下がりません。何とかして化学物質を克服して、食べられるようにします。こうした攻防は果てしなく続き、その結果として、植物も人を含めた動物も互いに相手に対抗して、進化し続けることになります。

 植物の咲かせる花は、花粉や蜜をえさとして、昆虫や鳥に提供し、花粉を運んでもらっています。花は、目当てとする昆虫や鳥の好みや行動に合わせて、花の形や色、香り、開く時間帯を決め、昆虫や鳥を呼び込み、花粉を運んでもらおうとしています。食虫植物のウツボカズラは、葉の先端からつるが伸びており、その先には昆虫を捕らえるための壷状の捕虫器がついています。捕虫器内部の下部には分泌液が溜まっていて、そこに落ちた昆虫は溺れ死に、分解、消化されてウツボカズラの成長のための養分となります。

植物と人を含む動物との果てしない戦い

 植物はじっとして動くことができません。ただただ食べられたりするだけで、人からみると受け身な生き方に思われます。人と異なり、敵に襲われても走って逃げることもできません。しかし、植物は人とはまったく異なる、防衛能力を持っています。

 中でも植物が広く活用しているのは、化学物質による防衛能力です。植物の成長には、必要ないけれども、人や動物には毒であったり、有害であったりする化学物質をつくり出すことで、食べられにくくしています。とはいえ、人や動物もそう簡単に引き下がりません。何とかして化学物質を克服して、食べられるようにします。こうした攻防は果てしなく続き、その結果として、植物も人を含めた動物も互いに相手に対抗して、進化し続けることになります。このような進化は、対抗進化と呼ばれます。

 みかんなど柑橘類の葉には、無数の油点があります。油点には香りのある精油成分が含まれています。葉を刻むと精油成分が揮発して、みかんと同じような爽やかな良い香りが立ち上ります。この精油成分が、多くの昆虫を寄せ付けない防虫効果をもたらしています。

 カタバミの葉を噛むと酸っぱい味がします。カタバミは、葉の中にシュウ酸を蓄えています。シュウ酸を蓄える理由は、動物がカタバミの葉を大量に食べてシュウ酸を摂りすぎると、シュウ酸が血液中のカルシウムイオンと結合して不溶性の結晶になり、腎臓結石の原因となることで、健康を害します。これが葉を食べられないための防衛策です。

 タンポポの茎や葉を切ると白い液体が出てきます。この液体には、ラテックスと呼ばれるゴムの成分が含まれていて、酸素に触れると固化します。つまり、食べようとする虫の口を固めてふさいでしまいます。また、このゴム成分は、タンポポが傷ついたときに絆創膏の役割を果たし、病原菌から守ります。

 植物にとって、人や動物だけではなく、カビや細菌も外敵のひとつです。そのため、抗菌作用を持つ成分を生産する植物がたくさん存在します。ホオノキは殺菌成分を活かして、ホオノキの葉でくるんだ寿司などに利用されます。ナンテンの葉にも殺菌成分があり、焼き魚などに添えられたりします。こうすることでカビや細菌を防ぎ、食べ物が腐りにくくなります。

 毒だからといって、簡単に引き下がっては、命に関わるのが主に昆虫です。植物の毒を分解する特殊なしくみをつくり出すことで無毒化に成功する虫もいます。さらに植物がつくった毒をそのまま体に蓄えて、逆に自分の防衛に利用する虫もいます。つまり、有毒な植物を特定の昆虫が選んで食べ、自身に影響がない形でその毒を体に蓄えておきます。有毒な昆虫は、警戒色と言われる派手な体色のものが多く、食べられるはずがないといわんばかりに昼間に無防備に飛んだりするなど目立つ行動をとります。このような昆虫として、蝶のジャコウアゲハなどがいます。

 植物のなかには、トリカブトのようにアルカロイドの毒をつくるものが存在します。アルカロイドとは、窒素原子を含む植物の生産物で、非常に毒性が強い化合物が数多く知られています。植物は大気中の窒素を利用できず、根から吸い上げるしか方法がありません。窒素が不足がちで、枯渇する可能性のある貴重な窒素を使ってまで身を守ろうとします。猛毒で有名なトリカブトは、アルカロイドを何種類も持っていて、防衛効果は絶大です。一方で、窒素が不足して、成長が遅くなるというデメリットもあります。

植物による動物の利用

 植物の咲かせる花は、花粉や蜜をえさとして、昆虫や鳥に提供し、花粉を運んでもらっています。花は、虫や鳥を引き寄せるために花びらを広げ、香りを漂わせます。植物として、どのような色や形の花を咲かせるかということは、どのような昆虫や鳥ターゲットにしているかと深くかかわりがあります。花は、目当てとする昆虫や鳥の好みや行動に合わせて、花の形や色、香り、開く時間帯を決め、昆虫や鳥を呼び込み、花粉を運んでもらおうとしています。

 食虫植物のウツボカズラは、葉の先端からつるが伸びており、その先には昆虫を捕らえるための壷状の捕虫器がついています。捕虫器からは、独特の甘い蜜のようなにおいを出して、昆虫を集めます。新葉のつるの先端には捕虫器の原形がすでにあり,葉の成長とともにその原形が膨らんで、やがて蓋が開いて、昆虫を捕らえることができるようになります。捕虫器内部の下部には分泌液が溜まっていて、そこに落ちた昆虫は溺れ死に、分解、消化されてウツボカズラの成長のための養分となります。

まとめ

 植物はじっとして動くことができません。ただただ食べられたりするだけで、人からみると受け身な生き方に思われます。人と異なり、敵に襲われても走って逃げることもできません。しかし、植物は人とはまったく異なる、防衛能力を持っています。

 中でも植物が広く活用しているのは、化学物質による防衛能力です。植物の成長には、必要ないけれども、人や動物には毒であったり、有害であったりする化学物質をつくり出すことで、食べられにくくしています。とはいえ、人や動物もそう簡単に引き下がりません。何とかして化学物質を克服して、食べられるようにします。こうした攻防は果てしなく続き、その結果として、植物も人を含めた動物も互いに相手に対抗して、進化し続けることになります。

 植物の咲かせる花は、花粉や蜜をえさとして、昆虫や鳥に提供し、花粉を運んでもらっています。花は、目当てとする昆虫や鳥の好みや行動に合わせて、花の形や色、香り、開く時間帯を決め、昆虫や鳥を呼び込み、花粉を運んでもらおうとしています。食虫植物のウツボカズラは、葉の先端からつるが伸びており、その先には昆虫を捕らえるための壷状の捕虫器がついています。捕虫器内部の下部には分泌液が溜まっていて、そこに落ちた昆虫は溺れ死に、分解、消化されてウツボカズラの成長のための養分となります。

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