味は食べ物の選択、摂取、消化、吸収、代謝を支配している重要な感覚です。美味しさは、食べる喜びを満たし、精神を高揚させます。
味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味が基本とされています。そのほかに広義の味として、辛味、渋味、エグ味などがあげられます。 5つの基本の味は、栄養素の存在や有害物質の存在を知らせるシグナルであり、甘味はエネルギー源としての糖質、うま味は たんぱく質あるいはアミノ酸、塩味はミネラル、酸味は腐敗や果物の未熟さを示す酸、苦 味は有害物質に対する警戒シグナルと言われています。辛味も本来警戒シグナルの1種 と考えられます。基本の味の代表的な物質をみると、警戒シグナルである苦味や酸味物質は閾値の低いものが多く、糖質のように大量に摂取される物質の閾値は高くなります。
人は甘味、塩味、うま味を好み、酸味、苦味を拒否します。特にたんぱく質のシグナルには、仕掛 があり、それは相乗効果です。グルタミン酸とイノシン酸といったうま味物質を同時に味わうと、うま味は著しく強められます。これは栄養素のシグナルが、よりよい食べ物をよりよく食べさせる方向に作用していることを示しています。
一方、警戒シグナルは特に大昔は生命の存続に直結する情報でした。苦味物質に対する拒否は、多くの種で獲得されており、植物、動物に潜んでいる苦い毒物を検知することができます。しかし、体内でつくれない必須アミノ酸の大部分やカルシウムなどのミネラルは苦く、警戒シグナルを引き起こす物質は、必ずしも有害ではなく、有用な物質もあります。人は長い経 験と学習によって、これらの物質を区別し、有用な物質を受容してきました。また、 好まれない味には、後天的に特に強い嗜好を引き起こすものがあります。コーヒー、お茶、ビールなどの苦味は、その 典型です
人の味覚は想像以上に鋭敏です。5つの基本味の代表物質の閾値は、砂糖0.086%、食塩0.0037%、酒石酸0.00094%、苦味物質のキニーネ0.000049%、グルタミン酸ナトリウム0.012%です。相乗効果を引き起こしたときのグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムでは、0.0001%以下まで検知できます。
味はそれ自身では必ずしも快い感情を引き起こしません。5つの基本味の代表物質を単純に水に溶かして味わっても、快い感情を引き起こすのは甘味だけです。しかし、実際の食品中に存在するときは、濃度と食品の種類によって快い感情を引き起こします。味は食品としての実感が伴わない限り、快い感情を引き起こさないということは、まさに食品の摂取を支配するシグナルと言えます。人は食べることで快い感情を引き出しています。美味しいという快い感情が、生命の維持につながっているのかもしれません。
食の嗜好
人は食材を調理することで美味しさを高め、享受するなかで食文化を築きました。また、新しい食品を発明すること、異文化の食を導入することによって、食の領域を広げ、食生活 を豊かにしてきました。それを導いてきたのは人々の嗜好です。その嗜好もまた食文化の発展とともに変化し、洗練されてきました。
食の嗜好は、食文化と表裏一 体となって人類の食のあり方を決定します。食の嗜好を決定する要因はさまざまですが、最も大切なものは五感です。食品の色、香り、味、テクスチャー、温度、咀嚼音などいずれが欠けても食の嗜好 は成立しませんが、最も大切な要因が味であることは、言うまでもありません。
味は食べ物の選択、摂取、消化、吸収、代謝を支配している重要な感覚です。美味しさは、食べる喜びを満たし、精神を高揚させます。
基本の味と役割
味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味が基本とされています。そのほかに広義の味として、辛味、渋味、エグ味などがあげられます。 5つの基本の味は、栄養素の存在や有害物質の存在を知らせるシグナルであり、甘味はエネルギー源としての糖質、うま味はたんぱく質あるいはアミノ酸、塩味はミネラル、酸味は腐敗や果物の未熟さを示す酸、苦味は有害物質に対する警戒シグナルと言われています。辛味も本来警戒シグナルの1種 と考えられます。
基本の味の代表的な物質をみると、警戒シグナルである苦味や酸味物質は閾値の低いものが多く、糖質のように大量に摂取される物質の閾値は高くなります。人の味覚は、自然界からの食べ物の摂取に合わせて、定められています。
人は甘味、塩味、うま味を好み、酸味、苦味を拒否します。栄養素のシグナルによって人 は摂取すべき栄養素を調節していると考えられます。特にたんぱく質のシグナルには、仕掛 があり、それは相乗効果です。代表的なうま味物質であるグルタミン酸は、ほとんどの天然食材に含まれており、特に植物性食材に多く含まれています。肉や魚などの動物性食材にはイノシン酸など核酸系のうま味物質が含まれています。 2つのうま味物質を同時に味わうと、うま味は著しく強められます。その結果、美味しく食べられるということは、人が自ら動物性食材と植物性食材を組み合わせて食べ、栄養バランスを保つように作用しています。ま た、熟した果物は甘く、熟成した肉はうま味が強く、咀嚼するほどご飯の甘味や肉のうま味は増します。これらは栄養素のシグナルが、よりよい食べ物をよりよく食べさせる方向に作用していることを示しています。
一方、警戒シグナルは特に大昔は生命の存続に直結する情報でした。苦味物質に対する拒否は、多くの種で獲得されており、植物、動物に潜んでいる苦い毒物を検知することができます。植物のおおよそ10%は、有毒物質を含むと言われています。しかし、体内でつくれない必須アミノ酸の大部分やカルシウムなどのミネラルは苦く、警戒シグナルを引き起こす物質は、必ずしも有害ではなく、有用な物質もあります。人は長い経 験と学習によって、これらの物質を区別し、有用な物質を受容してきました。また、 好まれない味には、後天的に特に強い嗜好を引き起こすものがあります。コーヒー、お茶、ビールなどの苦味は、その 典型です。山菜、サンマの内臓、くさやなど独特の苦味やエグ味は、嗜好に個人差がありますが、一度獲得した嗜好は強く定着します。
嗜好を引き起こす可能性のある味には、苦味、エグ味、渋味、酸味、塩味、辛味、メ ントールなどがあります。これらを好むメカニズムは複雑ですが、痛覚を刺激する辛味であれば、痛みの繰り返しに対する拮抗として、幸福感を抱かせる脳内神経伝達物質のエンドルフィンが関与していると考えられます。苦味としては、 心理的薬理効果などがあげられます。いずれにしてもこれらのシグナルは、何らかの感情を誘発することによって、食べ物の選択、摂取を支配しています。
呈味成分と味覚
食品の味は、無数の成分から構成されています。ある成分は強く、ある成分は弱く、閾値以下の味が総合されて微妙な味を形成することもあります。味の質は、必ずしも単純に分類できるものではありません。コハク酸の独特な味は、貝のうま味であるコハク酸ナトリウムとはかなり差があります。
味の発現速度や強さが最大になるまでの時間、持続性、後味などのような時間的な変化は物質によって異なります。これも呈味成分の重要な特性です。繰り返し味わうことによる味の変化も特性のひとつです。
一方 、人の味覚は想像以上に鋭敏です。自然界に広く存在する5つの基本味の代表物質の閾値は、砂糖0.086%、食塩0.0037%、酒石酸0.00094%、苦味物質のキニーネ0.000049%、グルタミン酸ナトリウム0.012%です。相乗効果を引き起こしたときのグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムでは、0.0001%以下まで検知できます。これらの値は、感覚がいかに鋭敏であるかを示しています。
味と美味しさ
味はそれ自身では必ずしも快い感情を引き起こしません。5つの基本味の代表物質を単純に水に溶かして味わっても、快い感情を引き起こすのは甘味だけです。そのほかの味はどちらでもないか不快であり、濃度が高いと全て不快となります。
しかし、実際の食品中に存在するときは、濃度と食品の種類によって快い感情を引き起こします。香りをつけたときは、香りの種類と質によって快い感情を引き起こします。
このように、味は食品としての実感が伴わない限り、快い感情を引き起こさないということは、まさに食品の摂取を支配するシグナルと言えます。甘味以外の味は、食品中において も強さが限度を越えると不快となります。つまり、警戒シグナルとなります。
人は食べることで快い感情を引き出しています。美味しいという快い感情が、生命の維持につながっているのかもしれません。
まとめ
味は食べ物の選択、摂取、消化、吸収、代謝を支配している重要な感覚です。美味しさは、食べる喜びを満たし、精神を高揚させます。
味は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つの味が基本とされています。そのほかに広義の味として、辛味、渋味、エグ味などがあげられます。 5つの基本の味は、栄養素の存在や有害物質の存在を知らせるシグナルであり、甘味はエネルギー源としての糖質、うま味は たんぱく質あるいはアミノ酸、塩味はミネラル、酸味は腐敗や果物の未熟さを示す酸、苦 味は有害物質に対する警戒シグナルと言われています。辛味も本来警戒シグナルの1種 と考えられます。基本の味の代表的な物質をみると、警戒シグナルである苦味や酸味物質は閾値の低いものが多く、糖質のように大量に摂取される物質の閾値は高くなります。
人は甘味、塩味、うま味を好み、酸味、苦味を拒否します。特にたんぱく質のシグナルには、仕掛 があり、それは相乗効果です。グルタミン酸とイノシン酸といったうま味物質を同時に味わうと、うま味は著しく強められます。これは栄養素のシグナルが、よりよい食べ物をよりよく食べさせる方向に作用していることを示しています。
一方、警戒シグナルは特に大昔は生命の存続に直結する情報でした。苦味物質に対する拒否は、多くの種で獲得されており、植物、動物に潜んでいる苦い毒物を検知することができます。しかし、体内でつくれない必須アミノ酸の大部分やカルシウムなどのミネラルは苦く、警戒シグナルを引き起こす物質は、必ずしも有害ではなく、有用な物質もあります。人は長い経 験と学習によって、これらの物質を区別し、有用な物質を受容してきました。また、 好まれない味には、後天的に特に強い嗜好を引き起こすものがあります。コーヒー、お茶、ビールなどの苦味は、その 典型です
人の味覚は想像以上に鋭敏です。5つの基本味の代表物質の閾値は、砂糖0.086%、食塩0.0037%、酒石酸0.00094%、苦味物質のキニーネ0.000049%、グルタミン酸ナトリウム0.012%です。相乗効果を引き起こしたときのグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムでは、0.0001%以下まで検知できます。
味はそれ自身では必ずしも快い感情を引き起こしません。5つの基本味の代表物質を単純に水に溶かして味わっても、快い感情を引き起こすのは甘味だけです。しかし、実際の食品中に存在するときは、濃度と食品の種類によって快い感情を引き起こします。味は食品としての実感が伴わない限り、快い感情を引き起こさないということは、まさに食品の摂取を支配するシグナルと言えます。人は食べることで快い感情を引き出しています。美味しいという快い感情が、生命の維持につながっているのかもしれません。