【健康への貢献】伝統的な日本食

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 日本人の平均寿命は伸び続け、長寿国として知られています。日本人は寿命が長いだけでなく、自立して生活できる期間を示す健康寿命も長くなっています。日本人が健康長寿である理由のひとつは、伝統的な日本食です。日本食は、お米を主食とし、魚や大豆製品、野菜などの食材、みそやしょう油といった調味料が伝統的に使われています。日本食の健康食としての要因は、健康維持に有益な魚や大豆製品、野菜などを数多く摂取することによるものと考えられます。

 日本食は、戦後数十年を経て大きく変わってきました。お米の消費が半分に減り、肉や油脂の消費が、おおよそ5倍になっています。これは日本食が、高度経済成長期以降、急速に欧米化してきたからです。この欧米化に伴い、脂質を過剰摂取するために動脈硬化症、糖尿病などの生活習慣病が顕著に増加し、大きな問題となっています。すなわち、日本食は健康的と言われていますが、現代の日本食よりも欧米化前の伝統的な日本食の方がより、健康上有益であると考えられます。

 伝統的な日本食は、近年の日本食と比較して、魚介類や大豆製品、野菜、果実、海藻、みそなどの調味料の使用量が多く、使用している食材の種類も豊富でした。このことは、単一の食材に過度な期待を抱き、特定の食材のみを大量に摂取するのではなく、魚介類はじめさまざまな種類の食材を摂取することが、健康維持に有益であることを示しています。

 食習慣を見直すことで、日本食の健康に対する便益を効率よく取り入れることが可能となります。

日本食とは

 日本人の平均寿命は伸び続け、長寿国として知られています。日本人は寿命が長いだけでなく、自立して生活できる期間を示す健康寿命も長くなっています。日本人が健康長寿である理由のひとつは、欧米と異なる特徴的な食生活のためと考えられています。日本の食事は、世界から健康食として注目され、「和食 日本人の伝統的な食文化」として、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。

 日本食は、お米を主食とし、魚や大豆製品、野菜などの食材、みそやしょう油といった調味料が伝統的に使われています。近年ではここに肉や乳製品、油脂、果実も加わり、多種多様な食材を摂取しています。日本食の健康食としての要因は、健康維持に有益な魚や大豆製品、野菜などを数多く摂取することによるものと考えられます。

日本食の特徴

 日本食は、欧米と比べて、食材の多様さやさまざまな調理法が特徴となり、食材の持つ風味と鮮度を大切にしています。お米をはじめ、魚や大豆製品、野菜、きのこ類、海藻などさまざまな食材が使用されています。特に魚や海藻、大豆製品が豊富です。このような特徴は、東南アジアの国々とも共通点がありますが、一方で日本食は、肉や油脂、香りの強い香辛料の使用が少ないという相違点があります。新鮮な食材と豊富な水で、食材の持つ風味を最大限に生かした味付けが重視されています。

 味付けは塩をはじめ、かつお節や昆布などをからとったうま味を豊富に含んだだし、大豆などを麹で発酵させたしょう油やみそが特徴です。日本酒や米酢などの米発酵調味料も使用され、甘みにはみりんや砂糖が使用されます。特に家庭では菜種油やごま油などの植物油を使い、牛脂やラードなどの動物性油脂はほとんど使用されません。このように日本食には、魚や大豆製品、野菜など多種多様な成分が少しずつ含まれており、これが健康維持に寄与していると考えられています。

日本食の代表的な食材である魚に含まれる多価不飽和脂肪酸が寿命に与える影響

 日本食には魚が多く使用されています。特に青魚は、多価不飽和脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含み、心血管疾患や炎症性疾患、メタボリックシンドロームを予防するなど有益な効果が報告されています。一方で、 EPAとDHAは分子内に多くの二重結合を持つため、試験管ではリノール酸やオレイン酸と比べて、非常に酸化されやすくなります。

 老化の進行には酸化ストレスが大きく関与しています。酸化ストレスとは、酸化反応により引き起こされる体にとって有害な作用のことで、活性酸素と抗酸化物質、抗酸化酵素とのバランスとして定義されています。ここでいう酸化とは、何らかの分子に酸素原子が結合することです。地球をとりまく大気には、酸素が約21%含まれており、呼吸をすることでこの酸素を取り入れ、食品を食べることにより糖質や脂質、たんぱく質などの栄養素を体内に取り込んでいます。取り込んだ栄養素からエネルギーをつくるためには、栄養素を燃やすこと、つまり酸化が必要になります。しかし、酸化は体の中の全体で起こっているため、酸化によって細胞が傷つけられることがあります。これが酸化ストレスです。

 発生した酸化ストレスに対し、活性酸素を除去する能力が追い付かない状況になると、酸化ストレスがたまっていくことになります。その原因は、ストレスや紫外線、酸化された食べものなどを摂取することなどがあります。過度な運動も酸化ストレスを高める原因となります。

 マウスを用いたある研究によると、加齢により生体内で酸化ストレスが促進され、加えて多価不飽和脂肪酸を摂取することで、酸化ストレスがさらに促進されることが報告されています。よって、魚の多価不飽和脂肪酸の摂取が、生体内の酸化ストレスを増加させ、老化を促進し、寿命を短縮する可能性は十分考えられます。人においても,多価不飽和脂肪酸の摂取で酸化ストレスの上昇が報告されています。よって、この結果だけから判断すると多量の多価不飽和脂肪酸の摂取は、注意が必要であることが考えられます。一方、マウスを用いた研究において、多価不飽和脂肪酸の摂取は、腫瘍や肝臓への脂質蓄積の抑制が顕著に認められています。このことから、抗酸化物質のビタミンEなどと一緒に多価不飽和脂肪酸を摂取することで、これらの酸化をコントロールしながら、多価不飽和脂肪酸の有する効果をのみを享受できるのではないかと考えます。

日本食と欧米の食の比較

 日本人の平均寿命は延び続け、長寿国となりました。日本人は寿命が長いだけでなく、自立して生活できる期間を示す健康寿命においても長いことが知られています。日本を世界有数の長寿国に導いた要因としては、欧米諸国と異なる独自の食生活の影響が大きいと考えられます。

 日本人の食事は、お米を中心に、魚や大豆製品、野菜などの伝統的な食材に、肉や乳製品、果実などが加わり多様性にあふれています。また、摂取するたんぱく質や脂質は、良質で新鮮な魚介類の割合が高く、欧米諸国とは異なっています。近年、日本人の食事は世界から健康食として注目されており、人を対象とした調査では、日本人の食事が健康に好影響を及ぼすことが報告されています。

 日本からアメリカなど海外への移民を調査した研究では、日本人は外国人に比べて動脈硬化症を発症する年齢は遅くなりますが、海外で育った二世は一世である親に比べ動脈硬化の発症が若年化し、三世四世になると外国人との差がほとんどなくなることが報告されています。がんの罹患率を調べた研究でも同様の結果が得られています。これは、親の世代が日本の食習慣を続けているのに比べ、その子孫は欧米の食生活に同化したためと推測されています。このように、日本人の移民が欧米の食事を摂ると、生活習慣病が増加し寿命が縮むという研究報告から、日本人の食事は長寿を導く健康食であると考えられます。

日本食の変化

 日本食は、戦後数十年を経て大きく変わってきました。お米の消費が半分に減り、肉や油脂の消費が、おおよそ5倍になっています。これは日本食が、高度経済成長期以降、急速に欧米化してきたからです。この欧米化に伴い、脂質を過剰摂取するために動脈硬化症、糖尿病などの生活習慣病が顕著に増加し、大きな問題となっています。すなわち、日本食は健康的と言われていますが、現代の日本食よりも欧米化前の伝統的な日本食の方がより、健康上有益であると考えられます。

 このようなことから、近年では欧米型の現代の食生活が見直され、生活習慣病の予防を期待できる伝統的な日本食の価値が評価されています。国内ばかりでなく、国外でも生活習慣病の危険回避に有効であるとして、伝統的な日本食が、取り入れられています。WHOの調査では、日本の健康寿命が世界有数になった理由として、日本食の脂質の少なさを指摘しています。しかし、WHOは脂質の少ない日本食が心臓疾患を少なくしている一方、近年日本人の食事は脂質の多い肉食に変化しつつあると警告しています。つまり、健康寿命が世界有数になった背景には、伝統的日本食の効果があり、近年の食事の欧米化によって、その効果が低下していることを示唆しています。

 確かに日本人の健康寿命を延ばしてきた世代は、伝統的な日本食を食べており、現代の欧米化された食事を食べている世代ではありません。このことから、欧米化し生活習慣病の増加を導いた現代の日本食よりも、長寿世界一を導いた伝統的な日本食の方が、健康に有益であると考えられます。

日本食の便益を得る方法

 伝統的な日本食には、健康の維持や老化の予防が期待されます。伝統的な日本食は、近年の日本食と比較して、魚介類や大豆製品、野菜、果実、海藻、みそなどの調味料の使用量が多く、使用している食材の種類も豊富でした。

 このことは、単一の食材に過度な期待を抱き、特定の食材のみを大量に摂取するのではなく、魚介類はじめさまざまな種類の食材を摂取することが、健康維持に有益であることを示しています。これらの点を考慮し、食習慣を見直すことで、日本食の健康に対する便益を効率よく取り入れることが可能となります。

まとめ

 日本人の平均寿命は伸び続け、長寿国として知られています。日本人は寿命が長いだけでなく、自立して生活できる期間を示す健康寿命も長くなっています。日本人が健康長寿である理由のひとつは、伝統的な日本食です。日本食は、お米を主食とし、魚や大豆製品、野菜などの食材、みそやしょう油といった調味料が伝統的に使われています。日本食の健康食としての要因は、健康維持に有益な魚や大豆製品、野菜などを数多く摂取することによるものと考えられます。

 日本食は、戦後数十年を経て大きく変わってきました。お米の消費が半分に減り、肉や油脂の消費が、おおよそ5倍になっています。これは日本食が、高度経済成長期以降、急速に欧米化してきたからです。この欧米化に伴い、脂質を過剰摂取するために動脈硬化症、糖尿病などの生活習慣病が顕著に増加し、大きな問題となっています。すなわち、日本食は健康的と言われていますが、現代の日本食よりも欧米化前の伝統的な日本食の方がより、健康上有益であると考えられます。

 伝統的な日本食は、近年の日本食と比較して、魚介類や大豆製品、野菜、果実、海藻、みそなどの調味料の使用量が多く、使用している食材の種類も豊富でした。このことは、単一の食材に過度な期待を抱き、特定の食材のみを大量に摂取するのではなく、魚介類はじめさまざまな種類の食材を摂取することが、健康維持に有益であることを示しています。

 食習慣を見直すことで、日本食の健康に対する便益を効率よく取り入れることが可能となります。

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