ウイスキーの成分
食品メーカーでは、微生物を使用したさまざまな食品を販売しています。パンやヨーグルト、キムチ、納豆、みそ、しょう油、そしてビールや日本酒、ワインといった酒類などが代表例です。これらの工場を訪問すると工場見学以外にも試食や試飲の機会にも恵まれます。場合によっては、併設する施設への立ち入りも許可され、ウイスキーの蒸溜所を見学させてもらいました。
ウイスキーの原材料は、大麦、水、酵母です。大麦を水に浸けて発芽させ、発芽時の酵素で大麦のでんぷんを分解し、麦汁を作ります。麦汁は味わうと糖による甘味があり、この状態でも販売されています。次に酵母を加え、2日間程アルコール発酵させ、蒸溜器でアルコールと香気成分を回収し、樽に詰めて数年熟成させます。原材料と器具を用意すれば自身でも製造できてしまいますが、日本においては酒類製造免許がない状態でのアルコール分を1%以上含む酒類の製造は、酒税法により原則禁止されています。これに違反し、密造酒を製造した者は、酒税法第54条により、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられることになります。
ウイスキーは、一般的な発酵食品と同様に発酵という工程を経て作られますが、蒸溜工程にてアルコール分と香気線分のみを回収しているので、糖質は含まれません。アルコールと香気成分、そして熟成中に樽からアルコールに移行してくる成分のみです。
ウイスキーが健康にいいと言われていますが、その理由は樽から移行してくるポリフェノールにあります。ポリフェノールの中のエラグ酸には、抗酸化作用があり、活性酸素による酸化を抑える効果や動脈硬化や脳梗塞、糖尿病、肌荒れを予防する効果も期待されます。さらにウイスキーの香気成分には、リラックスさせる効果があると報告されています。
また、ウイスキーは糖質を含まず、飲む量で比較するとビールや日本酒、ワインなどの醸造酒と比べて、カロリーは控えめで、プリン体は含まれていません。
ただし、適切な量を心がけ、飲み過ぎには注意しましょう。
ウイスキーの一般的な製造工程
ウイスキーの一般的な製造工程を紹介します。
精麦(モルティング)
1 大麦を収穫します
2 大麦を水に浸けて発芽させます
3 乾燥させ発芽を止めます
糖化(マッシング)
5 麦芽を粉砕し、麦汁を出やすくします
6 粉砕した麦芽と水を1対4の割合で混ぜます
7 麦芽の持つ酵素で麦芽の持つでんぷんを分解しまう
8 冷却します
発酵(ファーメンテーション)
さまざまな酵母から、好ましい香りや風味を産生する酵母を使用します。乳酸菌も同様に発酵中に香りを産生します。
9 8の糖液に酵母を加え、32℃前後で2日間アルコール発酵させます(アルコール度数7%程度)
10 場合によっては、乳酸菌により乳酸発酵させます
蒸溜(ディスティレーション)
アルコール以外に香気成分も回収します。
11 10を蒸溜器(ポットスチル)に投入します
12 蒸溜器でアルコール度数25%程度にします(初溜)
13 蒸溜器でアルコール度数70%以上にします(再溜)
熟成(マチュレーション)
オーク材の樽に詰められます。熟成は短い場合4~6年、長い場合は20年以上となります。熟成期間にさまざまな香気成分などが生成し、ウイスキー独特の風味が作り出されます。
14 加水してアルコール度数60%にします
15 樽につめて熟成させます
瓶詰め(ボトリング)
16 ろ過し、沈殿物などを除去します
17 加水し瓶詰めします
まとめ
ウイスキーの原材料は、大麦、水、酵母です。大麦を水に浸けて発芽させ、発芽時の酵素で大麦のでんぷんを分解し、麦汁を作ります。その後酵母を加え、アルコール発酵させ、蒸溜器でアルコールと香気成分を回収し、樽に詰めて熟成させます。
日本においては、酒類製造免許がない状態でのアルコール分を1%以上含む酒類の製造は、酒税法により原則禁止されており、食品メーカーで発酵や蒸溜設備があるといえど、免許がなければ密造となり、残念ながら試作することはできません。
ウイスキーが健康に寄与する理由は、樽から移行してくるポリフェノールにあります。ポリフェノールの中のエラグ酸には、抗酸化作用があり、活性酸素による酸化を抑える効果があり、動脈硬化や脳梗塞、糖尿病、肌荒れを予防する効果も期待されます。さらにウイスキーの香気成分には、リラックスさせる効果があると報告されています。また、ウイスキーは糖質を含まず、飲む量で比較するとビールや日本酒、ワインなどの醸造酒と比べて、カロリーは控えめで、プリン体は含まれていません。
ただし、飲み過ぎには注意です。適度な量を心がけましょう。